office
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「綺兎(あやと)。この書類、部長に渡して来て」
そう言って俺の頭を書類で叩いてきたのは、同僚で幼なじみの『平賀稜』(ひらが りょう)。妻子持ち。
「俺が、部長に?」
頭に乗せられたまんまだった書類を掴んでから稜に聞く。
「お前以外いねぇだろーが」
「口悪ィ」
「うっせぇ。綺兎に言われたくねぇし…いーから行け」
稜に尻を蹴られて俺は仕方なく部長の所に向かう。
「部長、書類持って来ました。ハンコ下さい…アレ?いない」
折角ハンコもらいに来たのに、肝心のハンコをくれる人がいない。
俺は、室内をキョロキョロと見回して部長を捜す。
捜してると、見たことある程度の女の人が俺に話し掛けてきた。
「あのっ…部長なら、息子さんが来たって言って、ロビーに行きましたよ」
「そうですか。ありがとうございます」
そしてニッコリと笑う。すると女の人は、顔が少しだけ赤くなった。
可愛いなぁ…女子社員。
自分で言うのも微妙だけど、俺は結構モテる。
身長186pあるし…。
まぁ、ヒョロ長いだけって言われるけど(稜に)。
…けど、筋肉だって結構、多分…ついてるし。
まぁ、そんなんどーでもいいや。
俺はとりあえず書類を部長の机に置いて、ロビーに行くことにした。
…あれ?部長って結婚してたっけ?
考えながら、一階のロビーに行く。