Short Series
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ヴー、ヴー、ヴー
枕元で携帯のバイブが鳴る。
朝から鼓膜にまで響くバイブにイライラしつつ、放っておけばそのうち止まるだろうと無視を決め込む。
「尊くん」
「ん〜」
「尊くん、朝だよ」
「…え?」
誰もいる筈ないのに後ろから声が聞こえた。
「おはよう。尊くん」
同じ布団に潜り込んで後ろからガッチリ抱き締められて、俺は抱きまくら状態だ。
こんな奇行、それに、聞き慣れた声…俺の後ろにいるのは、間違いなく隣に住んでいる加賀さんだ。
「加賀さん、放して下さい」
「ん〜?尊くんイイ匂い」
「ちょ、意味わかんねぇ…放しっ」
こんなヒョロイ身体してる癖に、なんでこんなに力があるんだ。
抱き締められたまま、身を捩って腕の中から脱出を試みるものの、抵抗虚しく解放して貰えない。
それだけならまだしも、加賀さんは、俺の項に鼻を押し当てて匂いを嗅ぐ。
君の近くへ