Short Series
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身体がダルい。
当たり前か、熱あるんだし。
熱に浮かされて
「お兄ちゃん、大丈夫?」
部屋のドアの隙間からちょっとだけ顔を出して、心配そうに声を掛けてくれる。
中まで入って来ればいいのに、と、そう思いつつも熱が移ってしまったら大変だから、この距離感に安心した。
「大丈夫だよ」
弟に心配を掛けてしまわないようにニコリといつものように笑ってみせた。
それでも弟は心配そうな悲しそうな顔をしている。
「早く良くなってね」
「うん、ありがと」
俺がお礼を言うと、弟はパタンと部屋のドアを閉めてしまった。
俺が寝ていると、おでこにひんやりとした物がのっけられて、意識が戻ってきた。
なんだかさっきよりもダルくて、目を開けるのすら億劫で、枕元にいるのが誰かなんて考える余裕もない。
だけどパタパタと横で動き回るもんだから、うっすらと目を開いてそこに誰がいるのかだけ確認することにした。
「あ、お兄ちゃん」
「……………」
そこには弟がいて、声を掛けようとしても寝起きだし、喉は痛いしで声が出なかった。
「早く治るおまじない」
ボーっとしている俺に向かってそう言うと、弟は俺のおでこにチュッとキスをしてくれた。
やばい、可愛すぎる。
恥ずかしそうに照れている弟の後頭部を引き寄せて、今度は俺から弟の唇にキスをしてやった。
ビックリしている弟を無視して、呼吸をしようと開いた唇の隙間から舌を割り込ませる。
俺は小学生の弟相手に自分の持てるテクを最大限披露して、そのまま意識を手放した。
目を覚ますとカーテンの隙間から日の光が洩れ出していて、自分が一日中寝ていたということがわかった。
昨日は意識が朦朧としていて、正直弟とキスをしたのが夢か現実かわかっていない。
現実ならいいのに、夢だったらどうしよう。
本人に聞くのが一番だと思った俺はリビングに行く。
リビングに来ると、そこにはソファに座りながらテレビを見ている弟がいた。そんな弟の隣に座って、弟の顔を覗き込む。
「なぁ、昨日俺の部屋来て看病してくれた?」
そう聞くと、俺の顔を見ながらブンブンと首を横に振った。
「してないよ。お母さんが、してた」
「そっか」
それで会話が終了して俺は立ち上がった。
「はぁ」
思わず溜息が洩れてしまった。
夢に出てきた弟を襲ってしまうなんて…かなり重症だ。
いっそのこと襲ってやろうか。
なんて危ないことを考えながら今日もまた一日が始まる。
俺との会話が終わった後に、弟が顔を真っ赤にしてたことを俺は気付かなかった。
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