その他テニス
□●恋は人を狂わせる
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「母さん、俺の部屋で話してるから邪魔しないようにね」
「わかってるわよ〜」
どこか天然っぽい感じのする彼女の話し方には少々不安を感じる。
だが今はそんなこと構っていられない。
蓮二の腕を引っ張ったまま階段を上って自室を目指した。
自室のドアを開けて、鞄を置く。
そうすると、困ったように蓮二が言った。
「貞治、腕…」
俺はやっと腕を掴んだままだと気づいたのだった。
すまない、と言いながら慌てて離す。
彼の腕を見ると、白い肌に俺の手の形に痕が残っていた。
謝るべきところなのだろうが、何故か少し嬉しくて口元が弛んだ。
「お茶でも持ってくるから寛いでいてくれ」
「いや、いい。構わないから」
下に降りようとしたのだが、蓮二に制止をかけられて二人して床に座る。
俺は何となく落ち着かなくて、鞄の中からノートを取り出した。
蓮二はというと、落ち着いた様子で正座している。
「貞治、」
名前を呼ばれて顔を上げる。
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