その他テニス
□●拍手小説格納庫
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[甘い、あまい。]
部活が終わって2人で帰ってる途中、ダビデが腹減ったと駄々をこねるもんだから、仕方なくファミレスに寄った。
無表情ではあるものの、俺から見ればすっげー嬉しそうにどでかいパフェを食べるダビデに、ふと疑問がわいた。
「なあダビデ、寒くねーのか?ンなもん食っててよ」
いちごパフェすーぱーでらっくす?とかなんとか言う、いっつもダビデが頼むパフェ。
甘いもんが得意じゃない俺にとっちゃ吐き気すらするデカさ。
頂点にはアイスが2つか3つくらいのっかってて、まだ少し肌寒い今の季節に食べたら寒くなりそうだと思った。
「バネさんがあっためてくれるから、だいじょ」
バシッ
とりあえずバカなこと言ってるダビデの頭をはたいて、無視してやる。
そうすると、慌ててアイスをのっけたスプーンを差し出してきた。
「ほ、ほらっこれあげるから許して…」
「俺甘いもん好きじゃねーし」
嘘じゃない。
ほんとのことを言ったまでなんだけど…
こう目の前で後輩にしゅんとされちゃあ何だか悪いことしたような気分になる。
「あ、帰り俺ん家寄って晩飯食ってくか!?」
無駄に焦って、早口で言う。
何でこんなに焦ってんだか…;
「いいの?行く。」
…まあ、喜んでるみたいだからいいか。
ダビデが嬉しそうにパフェを食べる姿を見てたら、自然と俺の頬も緩んできた。
これ何かに似てんな…
あれか。
子供を見つめる親。
外見はデカくて大人っぽいけど、中身はまだまだ子供みたいだもんな、ダビデ。
ほら、ベタに頬にクリーム付けやがって。
「ダビデ、付いてんぞ」
折角人がおしぼりでクリームを拭ってやったっつーのに、ダビデは残念そうな顔をした。
何なんだよコイツ。
「バネさんに舐めてほしかった…」
「…やっぱ俺ん家寄るのナシ。1人で帰れ。」
「うそ、うそだってバネさんっ!待ってっ」
結局その日の夜は俺ん家で嬉しそうに飯を食うダビデが居たあたり、俺はコイツに甘いんだと思う。