校外学習

□●Accio
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大きな物音に気付いて早足で部屋に入ると、部屋中をひっくり返しているジョージが居た。
ジョージは僕に気付くなり、泣きそうな顔で擦り寄ってくる。

「ねぇ、怒らないで聞いてくれる…?」
「なぁに、言ってごらんよ。場合によっちゃ怒らないとは約束できないけど」
「う……」
「杖でも無くした?」
「違うんだ…」
「じゃあ何?」

さっきの一連の出来事で少し苛ついていた僕は、事もあろうかジョージに当たるように感情をぶつけてしまった。
彼はビクリと肩を跳ねさせ、涙ぐむ。

「早く言いなよ、授業始まっちゃうだろ」

最初から行く気もない授業を引き合いに出し、ジョージが反論しないのを良いことに攻撃的な口調で続けた。

僕らが双子だからダメなんだ。
僕らが双子だから他人はどっち"でも"いいなんて言うんだ。
僕は1人しか居ないから、僕だけを必要として欲しいのに。
ジョージが居るからダメなんだ。

そう考えると目の前に居る、普段なら大好きな半身であるはずのジョージが卑しく、憎く思えた。
何度も聞いてるのにまだ口を開かないのにも腹が立って、僕は右手を振り上げた。

パンッ

乾いた音が部屋に響き、ジョージが倒れる。

少し手がぴりぴりして、どこか快感みたいなものがある。
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