×ブン太
□12月4日
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机の上にはウォレットチェーン。
ゴミ箱には綺麗に包装されていたはずの紙やリボン、アイツは甘いものが嫌いと聞いたから甘さを控えたチョコレートクリームがべっとりとついた白い箱。
数時間前にはその箱にケーキが入っていた。
今は気持ちとともに食べてしまったのだけれども‥
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一週間前
部活なんてとっくに引退して暇になった放課後を使って買い物に行った。
買い物の目的はもちろん、仁王へのバースデープレゼント
電車を乗り継ぎやっとついたのは若者向けのショッピングモールで、一際目に付くでもどこか落ち着いた雰囲気のある男性に人気のショップ。
平日の夕方というのにちらほら見える客を尻目に仁王が欲しがっていたウォレットチェーンを見つける。
幸運なことにシルバーはラスイチ
(ラッキー!!)
どこぞのオレンジ頭のラッキー野郎ではないが心の中で呟いてまった。
他から呼び止められる前にさっさとレジへ持ち込む
なかなか中学生には厳しい値段だったが前々から貯めていたしなんとか足りた。
軽くラッピングしてもらって近づいているクリスマス用のコーナーへ行くとどんぴしゃで作ったケーキを入れる箱やそれが入る紙袋。
それとワンホールには少し小さいケーキ用の型を会計すると何のようもなくなったショッピングモールをあとにして、行きよりも軽い足取りで家路についた。
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前日
(くそっ‥あのハゲ)
早く帰りたいときに限ってSHRが長引いた
いちいち騒ぎ立てた他のやつらも悪いがそいつらだけを叱ればいいもののこともあろうか連帯責任ではないが全員説教。
俺はその説教が終わると一目散に教室を飛び出た
巻いている暇なんてないマフラーはだらしなく垂らしたまま海沿いの道をひたすらに走る
久しぶりの全力疾走に汗が滲む。
やっと帰りつくと弟たちが遊んでくれとせがむが追い返してキッチンに入る。
自分用のエプロンをつけてケーキを作るべく道具を取り出す
作るのは甘さ控えめのチョコレートケーキ。
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12月4日
リビングのソファーで寝ていたら母親に叩き起こされた。
片付けまでしたため結局は深夜まで掛かってしまった。
起き上がって冷蔵庫のケーキを確認すると眠りこけていた割には綺麗にできていた。
ラッピングをしたら多分遅刻だがもう決まってしまった進路にはなにも関係ない
ケーキのラッピングとケーキが崩れないようにしていたらついたときにはもう昼。
さすがに教室にケーキを持って行くのはアレだし、温くなったたまったもんじゃない
でもまたラッキーにも部室の鍵をもっていたりする
部室には冷蔵庫あるしぴったりの保管場所。
善は急げでさっそく部室に向かう。
ドアノブに手をかけると鍵はかかってなった
「あ、丸井先輩」
声と同時に目の前にはもじゃもじゃ
「あ、赤也なんでおまえ」
とっさにケーキを後ろにやる
「サボリッスよ、次体育なんでもう行こうと思ってたんスけど‥‥ケーキッスか?」
見つかるとはわかっていたがこうも早く‥
「そーだけど」
赤也を押しのけ冷蔵庫へケーキをしまってバレないようにカムフラージュするとパッと見てもわかんねぇな
「あー‥仁王先輩‥気合い入ってるみたいッスね」
せっせと作業している俺をからかうように見下してくる赤也にはムカついたがなにも言うなくなる
「ま、頑張ってくださーい」
去っていく赤也を睨みつけた後に鍵を閉めて教室に向かうと仁王は机に突っ伏して眠っていた
いつもと違うのは周りがプレゼントだらけ
(全部受け取るわけか‥)
「あ‥‥」
仁王のズボンにはキラリと光るもの‥‥というか
俺が買ったのと同じウォレットチェーンを見つけた。
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それからは記憶にない
気づいたらケーキの入った紙袋とからったままだった鞄をもって家に帰ってきていた
あれをプレゼントしたのは多分彼女かなんかで
俺は仁王に友達以上を求めていた
でも受け入れるわけもない
いくら部内がカップルだらけだって仁王が流されるわけでもない
ため息とともに涙が零れた
アホみたいだ
自分だけで勝手に盛り上がって
プレゼントにケーキって‥
鞄からラッピングされた箱を取り出して紙なんかビリビリ
中身乱暴に取り出して机に投げ出した
ケーキの箱を開けて中身を食べる
まずい
投げ捨てたプレゼントと食べたバースデイケーキ
(苦い、)(しょっぱい、、)(俺には甘く無さ過ぎる)
end
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仁王でてませんが誕生日おめでとう\(^o^)/
のぉおぉ!
悲恋やないか!
こうなれば続編‥
書きます
乞うご期待!(笑)
ではではここまでありがとうございます^^
2009.12.04