×謙也

□キミは友達
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「謙也‥」


「ん?なんや?」


「好きや、付き合って」






昨日の放課後。二人以外誰もいない教室で白石はそんなことを言った。
勿論俺は冗談かと思って笑いかけようとした‥が、白石の顔は真剣そのもので思わず口を噤んだ。

あの後白石は、困ったように笑って返事は急がないから、と言って一人で教室を出て行った。


毎朝一緒の登校はなんとなく顔を合わせ辛いと思っていた、それは白石も同じようで迎えにも来なかったし、自らも行かなかった。

教室に入ると白石はもう来ていて、ヘラリとまたあの困ったような微笑みをこちらに向けた。

俺は思わず顔を背けた。


そのとき僅かに心のどこかがチクンと痛んだの気のせいと思い込んだ。





「謙也ぁ!!おどれは俺と小春の大事なランチタイムを邪魔しに来たんか!?」


「うっさいで一氏。謙也くん、蔵りんとケンカしたん?」


いつもは白石と俺で場所をちらほら変えつつ昼食を食べているのだが、なにぶん今日は避けてばかりの俺だ。昼休み開始を知らせるチャイムが鳴った瞬間、教室を飛び出して小春の教室へとやってきた。


「そんなんやないねん‥ケンカのが、よかったわ」


「‥‥なんやそれ!!ケンカちゃうのにうじうじしとるんか!?アホらしい!!さっさと‥」

「一氏は黙っとれ!!‥謙也くん、なにがあったか知らんけどセンチメンタルになりすぎなんとちゃう?」







昼休み後はずっと物思いに耽っていた。おかげで授業なんて上の空。気づいたときには部活の時間で、ユウジにはセンチメンタルご苦労さんやなとど突かれた。

チラリと見えた白石の顔は少し怒ったようだった。




集中力が皆無の部活が終わり、さっさと帰りたいこの上ないときに限って鍵当番。


「‥‥まだ残っとったんか」


ビクリと大袈裟なほどに肩が揺れた。


「あぁ‥鍵当番やもんな、もう少しかかる‥待っとれ」


昨日ぶりの白石の声を背後に聞き、何度も頷いた。
シーンとした空気が部室内に流れる。いつもだったら煩いくらいに盛り上がって、見回りにきたオサムちゃんにさっさと帰れと怒鳴られて帰る。そのあとの帰路でさえ話題は尽きたことがない。

またチクンと心が痛んだ。次は気のせいと思えるほどの痛みではない。



「‥‥白石」

「なんや?」

「‥‥なんで、告ってきたんや?」

「なんでって‥好きやからに決まっとるやろ。」

「っ‥‥でも俺は白石のこと、大切な友達やと思ってて!!」


「それが嫌やったんや‥俺は、ずっと謙也のこと友達じゃなく恋愛対象として見とった。お前、優しすぎんねん」


やっと発せることができた言葉に平然と帰ってきた言葉。そして苦しげな表情と声。


「‥‥‥とにかく、もう友達は終わりや。先帰り‥鍵は俺がしとく」


ガツンと大きな音をたててロッカーを閉めてにこりといつもよりまして艶めかしい笑顔を俺に向けた






彼は元友達
(明日から、どないすればえぇの?)(ダメや。考えられへんよ)



end
2011.03.21



あれれ、続編?
やっちまったぜベイベー

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