□相変わらず
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「………」
「弦一郎、どうかしたか?」
「…いや、せっかく綺麗な部屋なのに、何故ここだけは物が多いのかと思ってな」
「あぁ、その事か」
今更だな・と柳は静かに笑う。
「俺は基本的に面倒臭がりだからな」
「『片付けるのが面倒だから部屋に物は余り置かない』と以前に言っていたな」
「その通りだ」
「もしかしてそれでベッド付近に物が多いのが?」
だとしたら本当に物臭だな・と真田は苦い顔をする。心の中では「たるんどる」と呟いて居るのだろうな・と柳はその思いながら、再び静かに微笑んだ。
「余計な手間を省いて居る・と言ってくれ。それに…」
「それに?」
「俺は大事な物は、本当はベッドに置きたいんだ」
そう言いながら柳は古いテニスボールを手に取る。確かそれは初の公式戦で勝利した時のだ・と言って居たのを真田は思い出した。
「しかしベッドの上に置いたら寝れなくなるだろう」
「あぁ。だから枕元で我慢している」
「…それは我慢と言うのか?」
「俺にとっては我慢なんだ。さぁ、話が逸れてしまったな。本題に戻ろう」
「あぁ。そうだな」
テニスボールを元有った場所に戻し、柳は再びノートを手に取った。
(弦一郎は相変わらずだな…)
チラ・と真田の様子を伺い、柳は心の中で溜め息を付いた。彼は今の柳の言葉を理解して居ない。




(ベッドに座らせるのは、弦一郎だけなんだがな)




まぁ、そういう部分も含めた弦一郎が大事なのだが・と、柳は会話に集中するのだった。










―あとがき―・―・―


鈍感な真田に頑張ってアピールするも、遠回り過ぎて伝わらない柳でした。
片思いに見えなくも無い。でも両想い。

私の中で柳=面倒臭がり・という公式が出来上がってます。
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