□だからこそ、寧ろ尚更
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人間は、その人だからその人なんだろうなー

って、柳先輩を見てたら本気で思ったんだ。





■だからこそ、寧ろ尚更





「やっなっぎさ〜ん!」
「赤也か。どうした?」
「見掛けたから声かけただけっす♪一緒に帰りましょう!」
「………」

静かな笑顔で首を縦に振られ、赤也は何時もの様に横に並んだ。

(アンタの事だからバレてるんだろうけど)

部活は1時間近く前に終了し、辺りを照らす光は人工の物だけ。そんな時間まで赤也が学校に居て、更には「見掛けたから」。
己の発言ながら、苦しい言い訳だな・と赤也は苦笑する。

毎日、毎日、校舎の裏に回って壁打ちで時間を潰して居るのも、きっと目の前の麗人にはお見通しなのだろう。

「センパイは今日も綺麗っスね」

悔しい事に、見上げなければ見えないその顔を見つめながら赤也は言った。
赤也は柳を好いている。
それを自覚してから赤也は何度も柳に伝えて居るのだが、聡い柳にしては珍しく先入観に捕らわれて居る様だった。
一回も

(告白だ・て思ってくんないんだもんな…)


それが赤也にはもどかしい。
どうしたら自分の言葉がこの人の心に響くのか・と。

「なぜ、赤也は俺なんだ?」
「? 何がっすか?」
「俺よりも弦一郎や精市に憧れを持てば良かったものを、何故俺なんだ・という話だ」

あぁ、また伝わって居ない。

「俺は柳先輩が「好き」なんスよ! 憧れじゃ無いっス!」
「? だからそれは俺に憧れているという話だろう?」
「あ〜……うん、知ってたけど先輩鈍いっスね…」
「なぜいきなり俺の話になるんだ」

首を傾げるその姿も好きだけど・と赤也は思わずしゃがみ込んでうなだれた。
あの二人は確かに凄いセンパイだけど、いやアンタも凄いセンパイなんだけど、だけど俺はアンタが好きで、好きで、あの二人にそんな気持ちを持つわけ無いっつーの!
とグルグル考えた赤也だが、取りあえず伝わるまでは粘る!と元気に立ち上がった。



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