□相変わらず
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「相変わらず凄い本の数だな」
「弦一郎も相変わらず、俺の部屋に入った第一声はその言葉だな」




■相変わらず




3人が『3強』と呼ばれる様になってから、話し合いの場所は3人の家をローテーションで回していた。
幸村が入院してしまってから2人だけになってしまったけれど。
今日も近い内に他校との練習試合があるので、それについての話し合いだ。もっと重要だと幸村の病室で話し合ったりするのだが、今回は2人で十分だろう。
「飲み物を持って来るから、適当に座っていてくれ」
「あぁ、すまない」
バッグを床に置き、真田はベッドへと腰掛けた。柳がベッドを使って居る・と言う事実に最初は意外に思ったが、さすがに3年も見ていれば慣れてしまう。
「お茶と珈琲とどっちが良いんだ?」
「いや、邪魔して居るのはこっちだから、お前が飲みたい物で良い」
「わかった」
じゃあお茶だな・と柳はまたキッチンへと姿を消した。
柳の部屋は基本的に余計な物が無い。音楽機器やパソコン等の機械類もあるが、それ以外は机とローテーブルと、本とベッドくらいである。
真田はそのベッドに腰掛けた。これもいつもの事だ。
「待たせたな」
「いつも済まない」
ローテーブルに持って来た盆を置き、柳もベッドへ腰掛けた。男二人分の重みにベッドが少し軋むのも、相変わらずな事だ。
「さて、次の試合相手だが」
「あぁ」
パラリ・とノートをめくる。
既に書く場所が無くなったデータノートは、意外にも机や本棚でなく、このベットの枕元に並べられている。
他にも携帯電話の充電器や腕時計や、テニス雑誌や、更には今読み掛けらしい本も枕元だ。良く見れば古いテニスボールまでも枕元に置いてある。
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