□眩しいんだ
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ほら、また。
「やーぎゅ」
後ろから突然かかる重み。すっかり慣れてしまっている自分に苦笑する。
「何か用ですか?」
「いんや、用なんて無かとよ」
毎日毎日繰り返されるこのやり取り。用が無いことなんて自分が一番知っているが、聞かないと無言になってしまうのでそれは避けたいところだ。
頑張って首を動かして彼の表情を見ようとしたが、あまりにも近すぎるためいつも彼の髪が視界に入る程度で終わってしまう。だから私はこの時の彼の表情を知らない。
「仁王くんは何故いつもこの時間にひっつくのですか?」
キラキラと夕日が、汗に濡れた彼の髪の色を赤く染めてしまう。
自分では持つことの出来ないその美しさに、毎回見とれている・と彼に言える日は来るのだろうか。
「だって、夕日に照らされたお前さん、綺麗なんじゃよ」
しかし汗に濡れているのは自分も同じなのでどうにか彼をどけようとするが、体勢が体勢なだけにそれも叶わない。






「だから一番近くで見たいんじゃ」







自分の頬を染めてくれている夕日にも、彼は毎日感謝を告げる。





―あとがき―・―・―・

後ろから柳生に抱きつく仁王が好きなんです。それだけ。

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