†Poetry†
□Baroque(Moira版).
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※俺様=スコルピオス殿下.
Moiraよ、俺様はミーシャを殺メッました。
俺様は、この手で大切なミーシャを殺メッました。
思えば俺様は、幼い自分より酷く乱暴な性格でした。
他人というものが、俺様にはなんだかとても馬鹿馬鹿しく思えたのです。
俺様が認識している世界と、他人が認識している世界。
俺様が感じている感覚と、他人が感じている感覚。
『違う』ということは、俺様にとって心地よい快楽でした。
それがいづれ『支配力』に繋がるということを、無意識の内に知っていたからです。
楽しそうな会話の輪にさえ、加わる事は馬鹿馬鹿しく思えました。
俺様には必要なかったのです、他人に合わせる為の笑い方が。
いっそ(てか絶対)、世界の王になれたら素敵なのにと、いつも野望を抱いていました。
そんな俺様に初めて声を掛けてくれたのが、ミーシャだったのです。
美しい少女でした、優しい少女でした。
月のように柔らかな微笑みが、印象的な少女でした。
最初こそ戸惑いはしましたが、俺様はすぐにミーシャが好きになりました。
俺様はミーシャとの長い交わりの中から、多くを学びました。
『違う』ということは『個性』であり、『他人』という存在を『認める』ということ。
大切なのは『同一であること』ではなく、お互いを『理解し合うこと』なのだと。
しかし、ある一点において、俺様とミーシャは『違い過ぎて』いたのです。
狂おしい愛欲の焔が、身を灼く苦しみを知りました。
もう自分ではどうする事も出来ない程、俺様は『ミーシャを愛してしまっていた』のです。
俺様は勇気を振り絞り、想いの全てを告白しました。
しかし、俺様の想いはミーシャに『拒絶』されてしまいました。
「私、エレフが好きなの。」
その時のミーシャの言葉は、とても哀しいものでした。
その決定的な『違い』は、到底『解り合えない』と知りました。
そこから先の記憶は、不思議と客観的なものでした。
泣きながらも抵抗しないミーシャを、俺様が斬っていました。
糸が切れたように水面へと落ちる、《性的倒錯性歪曲》の少女。
愛を呪いながら、冥府へと転がり堕ちて逝きました……。
この歪な心は、この歪な貝殻は、
俺様の紅い真珠は歪んでいるのでしょうか?
誰も赦しが欲しくて告白している訳ではないのです。
この罪こそが、俺様とミーシャを繋ぐ絆なのですから。
この罪だけは、Moiraにさえも赦させはしない……。
「――ナラバ、我ガ赦ソウ……」
――激しい雷鳴 浮かび上がる人影
いつの間にか祭壇の奥に『たー様』が立っていた――
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