†Poetry†
□ミーシャの楽園[→side:M→].
1ﾍﾟｰｼﾞ/1ﾍﾟｰｼﾞ
――そして...幾度目かの冥府の扉が開かれる……
白い大地に 緋い雫で 描かれた渚 死への道標
黒き剣を 握り締めたまま 這い擦りながらも 男は笑った
廻るように 浮かんでくる 愛しい笑顔 すぐ其処に
水面の月に 手を伸ばす様に 扉に手を掛けた
――そして...エレフの現実は朽ち果てる……
少女が小さな 滴流す度 瞳の霞みが 星を遠ざける
襤褸い毛布でも 夢は見られる 愛を知った日の 温もり忘れない
眠るように 沈んでゆく 愛しい世界 水底に
冥府の使者が 手を招く様に 扉は開かれた
――そして...ミーシャの現実は砕け散る……
ねぇ...エレフ その楽園ではどんな花が咲くの？
ねぇ...エレフ その楽園ではどんな鳥が歌うの？
ねぇ...エレフ その楽園では体はもう痛くないの？
ねぇ...エレフ その楽園ではずっと一緒にいられるの？
ねぇ...エレフ
木々を揺らす風神 弾む吐息 薄暗い森 駆け抜ける影
瑠璃色の月 白い吐息 水面に揺れる面影 蒼白き乙女
幾度となく繰り返される問いかけ 尽きることのない『楽園』への興味
嗚呼...ミーシャにはもう見えていないのだ 背後に現れしその冥王が…
『ねぇエレフ』
『何だいミーシャ』
『明日は何の日か知ってる？』
『世界で一番可愛い妹の誕生日』
『ふふふ』
『私ね お誕生日プレゼントはエレフが良いわ…』
...エレフの夢想は残酷な現実となり ...ミーシャの現実は幽幻な夢想となる
...エレフの楽園は永遠の奈落となり ...ミーシャの奈落は束の間の楽園となる
...ミーシャ―― その楽園ではどんな恋が咲くの？
ねぇ...ミーシャ その楽園ではどんな愛を歌うの？
...ミーシャ―― その楽園では心はもう痛くないの？
ねぇ...ミーシャ その楽園ではずっと一緒にいられるの？
ねぇ...エレフ その楽園ではどんな花が咲くの？
ねぇ...エレフ その楽園ではどんな鳥が歌うの？
ねぇ...エレフ その楽園では体はもう痛くないの？
ねぇ...エレフその楽園ではずっと一緒にいられるの？
ねぇ...エレフ
.