†Poetry†

□ブラウン管の向こう側
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ぼくらはいつだって
ブラウン管の向こうの彼等に憧れていて
ぼくらはいつだって
正義なんてモノを信じていた


愛とか勇気とか
仲間を信じる心があれば
世界のどんな困難にも
立ち向かえると思っていた


でも実際ぼくらは臆病で
道路に飛び出した仔猫や
歳上の子に蹴飛ばされてる野良犬さえ
救ってやれずに逃げてきた
耳を塞いで
布団を被って
ごめんなさいと泣きながら
彼等の顔を思い出した


そうして何百もの大切なモノを失って
ぼくらは初めて気付くんだ
所詮ぼくらはちっぽけで
守れるモノは少ないと


虚実の英雄にサヨナラをして
ぼくらは大人になっていく


ぼくらはいつだって
ブラウン管の向こうで彼等に成りすまして
ぼくらはいつだって
正義なんてモノを語っていた


愛とか勇気とか
仲間を信じる心があれば
世界のどんな困難にも
立ち向かえると嘘を言った


ぼくらが繰り返し続けるのは
虚実の世界の無限のループ
叶いもしない夢を叫んで
守れもしない平和を望む


嗚呼どうか
昔のぼくらの様に
彼等を責めないでほしい
嘘しか吐けないぼくらには
この世界は創れない


ブラウン管の向こう側
ぼくらはいつだって



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