連載

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今日の彼は電話に出なかった。

いつもなら、携帯に掛ければ3コール以内に出るのに。
出られなくてもすぐ掛け返してくれるのが彼だった。

こんな日は珍しいから、何故か私のほうが落ち着かない。

連絡といっても、いつも私が葵くんを呼びつけることが大半を占めているのだけれど。

若いカップルみたいに、いつも連絡を取っていないと嫌よ、行動全てを把握していなければ嫌よ、とは今更言わないわ。



でもね、あなたを逃がす気なんかまだまだないの。


私に優しくて、我儘だって聞いてくれるあなたを。






ねえ、葵くん。


私ね、あの夜のことはまだ忘れていないわ。


ううん、きっと一生忘れられないと思うの。









第3話

あなたとふたりで
夜に堕ちた日









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