Novel.1
□Lesson 5a 赤い彗星編
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−−−ここから、三姉妹サイド−−−
「う〜ん・・・・今回はどうしましょう〜」
「紡ぃ・・・・」
「つむぎ姉・・・・」
一方、こちらは校舎屋上。
床に座り込み、床に広げたカードの群れを凝視しつつ思案に暮れる紡を、束と羽佐美はやきもきしながら見ていた。
「紡っ! さっさと決めなさい。前回、あんなに張り切ってたあんたの作戦、結局失敗だったでしょ?」
「そうよそうよ★」
「前回って・・・・束ちゃんも羽佐美ちゃんもあの時、さっさと帰っちゃったでしょ★? だから知らないはずですぅ。あんな逆転のされ方なんて私、考えても見なかったですぅ〜★」
「「うっ・・・・」」
紡の悲痛が込められた言葉に、束と羽佐美の顔が一気に青ざめた。
紡の言葉は的を得ていた。前回は、最後まで現場に踏ん張った紡(アトロポス)は、作戦そのものは失敗したけど実際にはおとがめはなし。一方、早々に戦線離脱した束(ラキシス)と羽佐美(クローソー)は、“フール”からしっかりおしおきを受けていたのだった。
「あのおしおきは、普通ないよね・・・・」
「うん・・・・リングにらせんに四谷怪談にって、和製ホラー映画立て続けに見せられるなんて・・・・」
「あの後の、お部屋のお掃除、大変でしたものね♪」
「「★!★! ・・・・・・(*////)(////*)」」
互いの顔を見合わせながら語り合う束と羽佐美の間に見事に割り込む、紡の天然系なボケ台詞。
詳細は語らずとも、赤面する二人の顔を見れば、その時の惨状は明らかである。
ザワザワザワザワザワ・・・・ビュウッ!!
「きゃあっ!」
「か、風っ!?」
「あぁっ! カードがっ!!」
そんな中、突然吹き荒れた一陣の風。屋上の床に並べられていたカードが一枚、また一枚と風に巻き上げられ、全てのカードが校庭の方角へと飛ばされて行く。
「全部目覚めちゃったら大変ですぅ★」
「羽佐美っ! 急いでっ!!」
「わかってるっ! カードよ・・・・留まれっ!!」
シュバアッ!!
突風が鳴りを潜めた。
羽佐美が両の掌をかざしている方角、学園の校庭の上空には動きを止められたカードの群。
そのカードは赤い糸のような無数の光線によって絡められ、上空に留められていた。
さらに、その光線の元は羽佐美の両掌に繋がっていた。