Novel.1
□Lesson 5a 赤い彗星編
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書
Lesson 5 赤い彗星編
力 vs 技!! 赤い彗星、参戦(前編)
重い爆音を響かせながら、その男はやってきた。赤褐色の革ジャケットにジーンズ、ジャケットと同色のロングブーツと、比較的ラフなライダースタイルのその巨漢は、校門前に停車させた真紅の車体の大型バイクにその身を委ね、ヘルメットのバイザー越しに白亜の校舎を見上げ、
「Wo〜w・・・・ここが花園学園ね。綺麗か学校ばい」
と、九州なまりな言葉を発すると、
「さぁ、新しか仕事ぜ!」
再びバイクのアクセルを解き放つと、校門を擦り抜け、学校内へと疾駆して行った。
「誰?あの人」
「新しい先生かしら・・・・」
「おっきな人〜・・・・外人さん?」
「すっげ〜! カタナのナナハンじゃん♪」
校舎の教職員通用口にそのバイクが停車した時、すでに生徒達の人集りができ始めていた。
巨漢のライダーはバイクを停め、エンジンを切り、キーを抜きつつバイクから降りるなり、
「Hey! Boys and girls.」
と、英語で生徒達に呼びかけた。その瞬間、周囲の生徒達の熱い視線は巨漢ライダーに集中する。
「俺(おい)の相棒にいたずらしたら、承知せんぞ」
と、再び九州なまりな言葉を言い放ち、口元をニヤリとさせると、ヘルメットを取りながら教職員通用口へと、のっしのっしと入っていった。この瞬間、生徒達の熱い視線は一気に冷めていった・・・・。
「金髪の・・・・外人さんなのに」
「九州・・・・弁?」
「な、な、なんなんだ???」
−−−ここから、未帆サイド−−−
「ねぇ、翠河さま」
ホームルーム終了後、珍しく、三姉妹の長女、紡があたしに声を掛けてきた。
「何?」
「近いうちに新しい英語の先生がいらっしゃる事、御存じです?」
「うん・・・・産休でお休みする、おたか先生の代わりの先生でしょ?」
「何でも、外国の御方らしいですわ」
「そう・・・・」
だれでもいいよ・・・・あたし、英語苦手だもん。
「みほっち、英語キライだもんねぇ♪」
と、話に割り込んできたのはこや。
「こやぁ・・・・あんたも人の事言えないっしょ」
「てへへ・・・・(^_^;)」
「まぁ、しばらくは東北なまりの英語から解放されるって事で、いいんじゃない?」
と、なるみも話に入ってきた。
「黄河さま・・・・小高先生が御聞きになられてましたら、泣かれますわよ・・・・おそらく」
「あ・・・・」
「泣かない泣かない。あのおたか先生がそんな繊細かなぁ、実際。産休に入る前の日のおたか先生、あんなにウキウキしてたじゃん」
「・・・・ですか?」
「うんっ♪ 元気なあかちゃんを産むんだって、にこにこしてたもん」
「でも・・・・あたしたちもいつか、おたか先生みたいな気持ちになる日が、来るのかなぁ・・・・」
と、なるみがため息交じりにそう言った瞬間、あたしの脳裏にふと、一つの光景が浮かんできた。
かわいい赤ちゃんを抱くあたし。
なんだか、幸せな気持ち。
「未帆。僕にも抱かせてくれないか」
と、あたしに呼び掛け、赤ちゃんを「高い高い」するのは・・・・
新潮先生♪
きゃあ〜っっっ♪♪♪