Novel.1

□Lesson 3
2ページ/18ページ

 −−−ここから、こやサイド−−−


「はぁ、はぁ、はぁ‥‥あぁ〜んっ! 今日当番だったぁ〜っっ!!」

 あたし、蒼河こや。中等部2年生。
 朝っぱらから薔薇宮先輩のおっかけをやったのがいけなかったわ。今日、クラス当番だった事をすっかり忘れていたの!
 クラス当番は毎朝ホームルーム前に職員室に行って、担任の先生から言付けがあれば、それを聞いておかなければならないの。
 もうホームルーム開始の10分前!
 やぁばぁ〜いぃ!!

「おはようございますっ!!」

 薔薇宮先輩をおっかける位のスピードで廊下を駆けてきたあたしは、職員室に滑り込んだ。
「たまき先生っ! なんか言付けは‥‥ありま‥‥せん‥‥か‥‥」

「☆※○★□◎!!!!」

 あたしの目に信じられない光景が飛び込んできた。知らない女子生徒が、新潮先生の腕にしっかりと抱きつき、またあと二人の女子生徒にも囲まれていたの。
 そんな光景を見ているうちに、あたしの胸の奥で、メラメラと炎が燃え上がるような感じがした。怒りの炎とは違う、別な炎が喉の奥まで込み上げてきた。

「おっ、今日ん当番は蒼河かいな。今日は特にないで」

 と、たまき先生が言ったけど、あたしには聞こえなかった。
 何故なら、あたしの心はあの子らへの嫉妬の炎で燃えていたから‥‥。

(おい蒼河ぁ)

 よりによって、あたし達の新潮先生に、べっ‥‥たりとっ! くっついてるあの子らっ!!

(‥‥蒼河?)

 だれよっっ!!!!

「ぅわっこぅわぁ〜っ! どないしたんや蒼河ぁ!? 顔、鬼になっとるで!」

「えぇっっ!?」

 耳元で響いたたまき先生の声。その瞬間、あたしは我に帰り、思わずコンパクトを取り出して、その鏡を見た。鏡に映っていたのは、いつものあたしの顔。
「うそぉ!?」
「うそちゃう。さっきまでの蒼河、マジ鬼みたいな顔になっとったで」
「‥‥う〜ん」
 あたしは再びコンパクトの鏡を覗き見た。右、左、上下と顔の向きを変えながら。そして、

「今日のこやちゃん元気なこやちゃんっ♪」

 鏡に向かって、思いっきりかわいい顔をした。周りが呆れているのもお構いなしで。

「ねぇなぁにぃ? あの子ぉ」
「ちょっとおかしいんじゃない?」
「いっしょのクラスにはなりたくないですぅ」

 その時、あたしの耳に飛び込んできたのは、あの3人の女子生徒の声。

 ムッカァァァァ〜〜〜ッッ!!!!

「ぅわ‥‥また鬼や」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ