Novel.1

□Lesson 8b 赤い彗星編
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書

Lesson 8 赤い彗星編
 謎の紋付き袴仮面 赤い彗星、太陽への一撃!(前編2)


 −−−Another Side−−−


「♪〜♪〜♪〜♪〜」

 次の夜。
 今度は麻布十番の繁華街にあの小男、偽『紋付き袴仮面』が姿を現していた。
 この前と同じ、上下ダブダブの背広にドカ靴。山高帽姿である。

「おろっ? あかんなぁ〜こないなトコに駐車したらぁ〜」

 小男が目を付けたのは違法駐車の乗用車。しかも『なにわ』ナンバーの黒ベンツだ。
「ちょっと失礼するで〜♪」
 小男はおもむろに紙と極太字の筆ペンを取り出すと、ベンツのボンネットを下敷き代わりに、サラサラと文字を書き始めた。そして、
「よっしゃ♪ 何時にも増してよぉ書けとるで♪」
 三十秒も掛からず、貼り紙を書き上げた。それを傍の電柱に貼ろうとした、その時である。

「おぅゴルァア★!! 兄貴のベンツに、何さらすんじゃい★!!」

「おろ?」
 すぐ横の雑居ビルの階段から、強面の男が数人、ドカドカと降りて来た。
 どうやら、このベンツ。ヤクザの車のようだ。

「おぅゴルァおっさん★ ベンツ様を下敷きにしてお習字するたぁ、何考えとるんじゃい★」
「えぇ度胸しとるやんけ★」
「いちびっとるんかぁ★!! あ★!?」

 悠然と近付きながら威圧してくるヤクザにも物怖じせず、小男はちらりと雑居ビルを見上げる。
 その雑居ビル。一階は既に閉店して久しい商店の跡。その上の階には、一目でヤクザの事務所らしき趣があった。

「あ〜は〜♪ えらいイカツイのんが出てきぃはったかと思たら、社会のダニはん等でっか♪」

 そんな言葉をヘラヘラと吐きながら、小男は電柱に貼り付けた貼り紙に、さらに何やら筆を加えた。
「ダニ・・・・」「「「「何やてぇ★!!」」」」

「ダニはんなら・・・・」
 小男はヤクザに向かって居直ると、キャップを締めた筆ペンの先を山高帽の縁に当て、

「駆除や★!!」

 そう言い放ち、帽子の縁をクイッと押し上げた。

 ビシャウッ!! バッフォオオオオオオオオ★!!!!

「「「「「どわぁ★!?」」」」」
 再び閃光が走り、今度はヤクザの事務所ごと、雑居ビルが炎に包まれた。

「薙ぁぎ払うでぇ〜★♪」

 ヒャウンッ!! バフォオオオオオオオオ★!!!!

「どぁあああああ★!!!!」
「「「「あぢあぢあぢあぢあぢ★!!!!」」」」
 小男がくるりと向きを変えつつ、再び帽子の縁を押し上げた。その時走った閃光は、ヤクザ等の靴先を見事に掠め、さらに黒ベンツへと。
 当然、ヤクザ達は靴からズボンまでが燃え上がり、ベンツは一気に炎上した。

「ほな、さいなら♪ オォ〜わての頭は100万ワット♪ 地上に降りたないつの〜♪」

 そんな言葉を残し、悠然と小男は去って行く。ここでもまた、鼻歌を歌いながら・・・・。

 −−−−−−−−−−−−

 地域の治安の為
 違法駐車一掃の為
 わてが焼却しときましたで♪

 愛と正義の使者
   人呼んで、紋付袴仮面

 ついでに社会のダニも
  駆除しときましたで♪

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