Novel.1
□Lesson 8b 赤い彗星編
1ページ/13ページ
ムンパレ☆カルテットのセーラー白書
Lesson 8 赤い彗星編
謎の紋付き袴仮面 赤い彗星、太陽への一撃!(前編2)
−−−Another Side−−−
「♪〜♪〜♪〜♪〜」
次の夜。
今度は麻布十番の繁華街にあの小男、偽『紋付き袴仮面』が姿を現していた。
この前と同じ、上下ダブダブの背広にドカ靴。山高帽姿である。
「おろっ? あかんなぁ〜こないなトコに駐車したらぁ〜」
小男が目を付けたのは違法駐車の乗用車。しかも『なにわ』ナンバーの黒ベンツだ。
「ちょっと失礼するで〜♪」
小男はおもむろに紙と極太字の筆ペンを取り出すと、ベンツのボンネットを下敷き代わりに、サラサラと文字を書き始めた。そして、
「よっしゃ♪ 何時にも増してよぉ書けとるで♪」
三十秒も掛からず、貼り紙を書き上げた。それを傍の電柱に貼ろうとした、その時である。
「おぅゴルァア★!! 兄貴のベンツに、何さらすんじゃい★!!」
「おろ?」
すぐ横の雑居ビルの階段から、強面の男が数人、ドカドカと降りて来た。
どうやら、このベンツ。ヤクザの車のようだ。
「おぅゴルァおっさん★ ベンツ様を下敷きにしてお習字するたぁ、何考えとるんじゃい★」
「えぇ度胸しとるやんけ★」
「いちびっとるんかぁ★!! あ★!?」
悠然と近付きながら威圧してくるヤクザにも物怖じせず、小男はちらりと雑居ビルを見上げる。
その雑居ビル。一階は既に閉店して久しい商店の跡。その上の階には、一目でヤクザの事務所らしき趣があった。
「あ〜は〜♪ えらいイカツイのんが出てきぃはったかと思たら、社会のダニはん等でっか♪」
そんな言葉をヘラヘラと吐きながら、小男は電柱に貼り付けた貼り紙に、さらに何やら筆を加えた。
「ダニ・・・・」「「「「何やてぇ★!!」」」」
「ダニはんなら・・・・」
小男はヤクザに向かって居直ると、キャップを締めた筆ペンの先を山高帽の縁に当て、
「駆除や★!!」
そう言い放ち、帽子の縁をクイッと押し上げた。
ビシャウッ!! バッフォオオオオオオオオ★!!!!
「「「「「どわぁ★!?」」」」」
再び閃光が走り、今度はヤクザの事務所ごと、雑居ビルが炎に包まれた。
「薙ぁぎ払うでぇ〜★♪」
ヒャウンッ!! バフォオオオオオオオオ★!!!!
「どぁあああああ★!!!!」
「「「「あぢあぢあぢあぢあぢ★!!!!」」」」
小男がくるりと向きを変えつつ、再び帽子の縁を押し上げた。その時走った閃光は、ヤクザ等の靴先を見事に掠め、さらに黒ベンツへと。
当然、ヤクザ達は靴からズボンまでが燃え上がり、ベンツは一気に炎上した。
「ほな、さいなら♪ オォ〜わての頭は100万ワット♪ 地上に降りたないつの〜♪」
そんな言葉を残し、悠然と小男は去って行く。ここでもまた、鼻歌を歌いながら・・・・。
−−−−−−−−−−−−
地域の治安の為
違法駐車一掃の為
わてが焼却しときましたで♪
愛と正義の使者
人呼んで、紋付袴仮面
ついでに社会のダニも
駆除しときましたで♪
−−−−−−−−−−−−