Novel.1
□Lesson 8a 赤い彗星編
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書
Lesson 8 赤い彗星編
謎の紋付き袴仮面 赤い彗星、太陽への一撃!(前編1)
「天誅〜っ!!」
スパァ〜ン☆!! バゴォ〜ン☆!!
「ふげっ☆」
深夜の麻布十番界隈に怪鳥音にも似た男の声が響いた。
その声が発された現場、私立花園学園の校門付近には、街路灯にぼんやりと照らされた二人の人影があった。
一人は、校門近くの柵に寄り掛かるように倒れ込んでいた。見たところ、中年の男のようだ。
そしてもう一人は、黒い和服を着た謎の男。右手にはハリセンのような武器が握られていた。
「このどアホ☆!! そないな事するさかい聖なる学び舎が穢れるんや!! そこで一晩、頭冷やしときぃや!!」
ひたひたひたひた・・・・
そう言い残すと、謎の男は草履の音を響かせ、深夜の街へと消えて行った・・・・。
−−−ここから、なるみサイド−−−
ざわざわざわざわ・・・・
「きゃっ!」「やだぁ」「やぁ〜んっ」「何これぇ?」「どうしたの? いったい」「ぐはっ☆ シャレかよ、これ?」
「みんな離れて離れて! 見世物じゃないぞ」「女の子が見るものじゃない!」
なるみです。
あの日から一晩過ぎた次の朝。校門の傍は騒然としてました。
警察のパトカーだけじゃなく、救急車まで来ていたその場所には、朝から生徒達の黒山の人だかり。さらにその真ん中には・・・・
何かで殴打され、気を失っている中年男が、生垣の柵に寄り掛かるように倒れてた。
頭にはネクタイが巻かれ、おみやげ包みを持ってたこの人。首には『粗品』という文字と下向きの矢印が書かれた札
が下げられ、その矢印の下は・・・・フルオープンだったの(////)。
しかも、彼の傍には、こんな張り紙が残されていたんです。
−−−−−−−−−−−−
この男、
公共物に立小便した罪
ならびに猥褻物陳列罪
せやさかい、
お し お き
しときましたで♪
正義の使者 紋付き袴仮面
−−−−−−−−−−−−
「もんつき、はかま・・・・かめん?」
「未帆。何者、かしら?」
「・・・・わかんない」
「ホント、誰なんだろう・・・・?」
「「さぁ〜」」
あたしと未帆、そしてこやちゃんは思案に暮れた。
張り紙を残した『紋付き袴仮面』という謎の存在について。
「未帆さぁ〜ん・・・・なるみさぁ〜ん・・・・」
ここに来てからずっと沈黙していたほしちゃんが、ようやく口を開いた。
あたしと未帆が視線を向けた時、ほしちゃんは涙目だった。
「ヘンなモノ見ちゃいましたぁ〜☆(><)」
ほしちゃんは泣きながら、あたしと未帆に抱き付いた。
どうやら、ほしちゃんには耐えられなかったみたいね・・・・アレ。
「「よしよし(^^;(^^;)」」
「いい子なんだから、泣かない泣かない♪(^ヮ^;)」
抱き付かれなかったこやちゃんも、慰めの言葉と一緒に、ほしちゃんの頭をなでなで。
よく考えたら、そうかも知れないわね。
ほしちゃんの家、ずっとお母さんと二人っきりなんだもの。
だって、両親はほしちゃんが赤ちゃんの時に、離婚してるから・・・・。