Novel.1
□Lesson 7b 赤い彗星編
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書
Lesson 7 赤い彗星編
恋人達は桜色? こやと紡の恋の嵐(後編)
−−−ここから三姉妹サイド−−−
「あ、あ、あ・・・・(@@;;;」
思わぬ出来事に、紡は気が動転していた。
形がどうであれ、『愛の告白』と言う行為を受けた事に、何が何だかわからなくなっていた。
「あ・・・・あの男子、確か、同じクラスの・・・・」
一方、束は目が点になりながらも、物事を客観的に見ていた。
元々『人』とは違う彼女らには、『恋』の概念はないに等しい。
あるのは“マスター”との忠誠と信頼。それだけなのだ。
「紡・・・・惑わされてちゃダメよ。構う事など、ないわ」
と、何とか我を取り戻した束は、そう紡に告げた。
しかし、すぐに返事は返って来なかった。
「紡?」
「束、ちゃん・・・・」
ようやく紡から言葉が返って来た。
「もぉ返事がおそ! い・・・・わ、よ・・・・」
ヤキモキした表情で紡の方を向いた束は、その声を詰まらせ、驚愕の顔色へと表情を変えた。
いや。変えざるを得なかった。
頬を染めて立っていた紡が、その身体を震わせていた。
しかも顔や、制服から露出している腕や脚に、血管のような筋が走り、脈打っていたのだ。
「今、ようや、く・・・・わかりました、わ・・・・あの時、の・・・・羽佐美、ちゃんの、気持ち、が・・・・」
「紡、まさか!?」
「ごめん、なさい・・・・束、ちゃん・・・・マスター、にも・・・・ごめんな、さいって・・・・伝え、て・・・・」
「・・・・ダメ★!」
「お゛・ね゛・が゛・い゛・・・・」
パァン!!
紡の声が大きく歪み、紡が手に持っていた、未開封の缶ジュースの缶が破裂した瞬間、
キカッ!! バフォオオオオオ!!!!
ガシャガシャガシャガシャアンッ!!!!
「「「「「きゃあっ☆!!」」」」」
「つむぎぃ★!!」
紡の瞳から鋭い眼光が放たれ、購買部とオープンカフェテリア一帯は黒い瘴気の渦が荒れ狂った。
テーブルも、椅子も、そこにいた生徒達も薙ぎ倒され、購買部の備品や商品すら吹き飛ばされる程の惨状に、一帯は変わり果てていった。
かつて、羽佐美がそうなったように、今度は、紡が『力』を暴走させてしまったのだ。
ピシュン。
紡・・・・いや、姿を変えたアトロポス・ホワイトが、瘴気の渦の中、瞬間移動した。
「ダメ★! 『力』を暴走させちゃ・・・・えっ? 何処へ行ったの・・・・あっ!」
束はすぐにアトロポスを見付けた。
アトロポスは、微風にドレスの裾をたなびかせながら、渡り廊下屋上にその姿を現していたのだ。
「い、いけない★!」
ピシュン。
瘴気の渦が収まりきれぬ中、束も瞬間移動した。
ブラック・ラキシスへと、瞬時に姿を変えて・・・・。