Novel.1

□Lesson 7b 赤い彗星編
1ページ/20ページ

ムンパレ☆カルテットのセーラー白書

Lesson 7 赤い彗星編
 恋人達は桜色? こやと紡の恋の嵐(後編)


 −−−ここから三姉妹サイド−−−


「あ、あ、あ・・・・(@@;;;」
 思わぬ出来事に、紡は気が動転していた。
 形がどうであれ、『愛の告白』と言う行為を受けた事に、何が何だかわからなくなっていた。

「あ・・・・あの男子、確か、同じクラスの・・・・」
 一方、束は目が点になりながらも、物事を客観的に見ていた。
 元々『人』とは違う彼女らには、『恋』の概念はないに等しい。
 あるのは“マスター”との忠誠と信頼。それだけなのだ。

「紡・・・・惑わされてちゃダメよ。構う事など、ないわ」

 と、何とか我を取り戻した束は、そう紡に告げた。
 しかし、すぐに返事は返って来なかった。
「紡?」

「束、ちゃん・・・・」

 ようやく紡から言葉が返って来た。

「もぉ返事がおそ! い・・・・わ、よ・・・・」

 ヤキモキした表情で紡の方を向いた束は、その声を詰まらせ、驚愕の顔色へと表情を変えた。
 いや。変えざるを得なかった。
 頬を染めて立っていた紡が、その身体を震わせていた。
 しかも顔や、制服から露出している腕や脚に、血管のような筋が走り、脈打っていたのだ。

「今、ようや、く・・・・わかりました、わ・・・・あの時、の・・・・羽佐美、ちゃんの、気持ち、が・・・・」
「紡、まさか!?」
「ごめん、なさい・・・・束、ちゃん・・・・マスター、にも・・・・ごめんな、さいって・・・・伝え、て・・・・」
「・・・・ダメ★!」

「お゛・ね゛・が゛・い゛・・・・」

 パァン!!

 紡の声が大きく歪み、紡が手に持っていた、未開封の缶ジュースの缶が破裂した瞬間、

 キカッ!! バフォオオオオオ!!!!

 ガシャガシャガシャガシャアンッ!!!!

「「「「「きゃあっ☆!!」」」」」
「つむぎぃ★!!」
 紡の瞳から鋭い眼光が放たれ、購買部とオープンカフェテリア一帯は黒い瘴気の渦が荒れ狂った。
 テーブルも、椅子も、そこにいた生徒達も薙ぎ倒され、購買部の備品や商品すら吹き飛ばされる程の惨状に、一帯は変わり果てていった。

 かつて、羽佐美がそうなったように、今度は、紡が『力』を暴走させてしまったのだ。

 ピシュン。

 紡・・・・いや、姿を変えたアトロポス・ホワイトが、瘴気の渦の中、瞬間移動した。
「ダメ★! 『力』を暴走させちゃ・・・・えっ? 何処へ行ったの・・・・あっ!」
 束はすぐにアトロポスを見付けた。
 アトロポスは、微風にドレスの裾をたなびかせながら、渡り廊下屋上にその姿を現していたのだ。
「い、いけない★!」

 ピシュン。

 瘴気の渦が収まりきれぬ中、束も瞬間移動した。
 ブラック・ラキシスへと、瞬時に姿を変えて・・・・。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ