Novel.1
□Lesson 4
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書
Lesson 4
審判者の怪! 学校は恐怖の館
「おつかれさまでしたぁ」
今日の部活はずいぶん遅くなっちゃった。
あたしが体操部の部室から外に出たときには、既に日も落ちてしまっていた。しかも、星が見えないほど夜空は曇っていて、雷鳴が遠くで響き、生暖かい風が頬を撫で、気味悪い感じがそこらじゅうを漂っていた。
みなさん、こんばんわ。花園学園中等部2年、黄河なるみです。
今回の話は、こんないやな感じの夜の学校の光景から始まります。
「あ〜‥‥未帆もこやちゃんも、ほしちゃんも帰っちゃってるわ。あたしも早く帰らないと‥‥」
部室の隣に並ぶ他の部室はみんな真っ暗。もぬけのから。時計の針はもう8時前になっていた。校庭グランドも、今日はソフトボール部が夜間練習をしていないせいか、まっくらだった。
あたしが校舎中庭を抜けた時、学校の回りが生け垣や樹木で囲われているせいか、校門前は外の街の灯すら差し込まず、さらにまっくらだった。
「なるみちゃん、バイバイ」
「黄河センパイ、お先でぇす」
自転車通学する、同じ部活のメンバー達があたしの横をさっそうと通り過ぎて行く。
ボ〜ン‥‥ボ〜ン‥‥ボ〜ン‥‥
闇の中、学校創立当初から伝わる古い掛時計が、寂しい音色で時を刻む。そして遠くで鳴り響く雷。さらに、頬をなでる生暖かい風。
何だか、気持ち悪い‥‥早く帰らなくっちゃ。
あたしは小走りで、薄明るい校門の方へ向かった。
その時だった。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ‥‥!!
とても規則正しく踏まれている、集団での足音が耳元に響いてきた。
えっ?
あたしはふいに立ち止まり、音のする方向に視線を向けた。
えっ!?
あたしの視線の先から、兵隊さんらしき集団がやってくる。しかし、自衛隊さんでも、米軍さんでもない。
その姿は、本で見たことがある、旧日本軍のものだった。
えぇっ!?!?
まっすぐ行軍をする兵隊さん達が、あたしのすぐ横を次々と擦り抜けて行く。
行軍の足音と共に、兵隊さん達の気味の悪いうめき声が耳元を擦り抜けて行く。
兵隊さん達の顔が、姿があたしの目に次々と飛び込んでくる。
額から赤い血を流す兵隊さん。片腕がない兵隊さん。片足の兵隊さん。顔が半分なくなっている兵隊さん。首そのものがない兵隊さん。腰から上がない兵隊さん。半分がいこつになった‥‥。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ‥‥
兵隊さん達の足音が、遠くなって行く。
あたしの足が震える。背筋が凍り付く。頬を冷たい汗が伝って行く‥‥。
「きゃあぁあぁあぁあぁあぁあああああ〜〜〜〜〜っっっっ!!!!」