Novel.1

□Lesson 2
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書

Lesson 2 吊られた男! 毎朝だれかがぶ〜らぶら


 外苑道路から見ると並木や生け垣で敷地全体が緑で覆われているかのような私達の学校、花園学園は中等部と高等部が同じ敷地内に併設されている、いわゆる中高一貫校。中等部校舎も高等部校舎も同じ4階建て。一階と三階にはお互いの校舎を結ぶ渡り廊下があって、生徒も先生達も自由に行き来ができるようにできているの。
 毎日一回はこやさんがこの渡り廊下を渡って行って、高等部の薔薇宮先輩をおっかけ回してるのよね‥‥私にはそんな事できそうにないな。

 あ、いけない。自己紹介しなくっちゃ。
 私、紅河ほし。花園学園中等部の1年生です。
 今回のお話は、その渡り廊下で起こった謎の事件についてのお話です。

 それは、あの日から1週間位たったとある朝のこと。
「あれ? 誰の眼鏡?」
 いつものようにいつもの4人で登校してきた時、渡り廊下で未帆さんが眼鏡を拾った。
「何? ‥‥わっ、信じらんない。すっごく度が強い眼鏡よ、これ」
「ちょっと貸してっ。‥‥うあぁぁぁ〜頭がくらくらするぅ〜」
 渡り廊下に落ちていた眼鏡は普段見る眼鏡とは違ってレンズが分厚く、度も強かった。こやさんが試しに掛けてみて2、3秒でギブアップしたのもわかる。私もちょっと近視だけど、こんな眼鏡はさすがに掛けられない。
「これって‥‥ビンゾコメガネって呼ばれてる眼鏡ですよね、確か」
「そうとも言うよね」
「こんなメガネかけてたら、逆に目が悪くなっちゃうよぉ〜っ」
「それにしてもすっごい眼鏡‥‥どんな人が掛けてるのかしら?」

「さぁ〜‥‥」

 私達がこの眼鏡の持ち主について考え込んでいた、その時だった。

「おはよう」

 聞きなれない若い男性のテノールが私の耳に聞こえてきた。一方、いち早く振り返っていた未帆さん達は、何やらそわそわしていた。
「あ‥‥新潮先生っ(*・o・*)」
「おはようございまぁ〜すぅ♪(*^▽^*)」
 気になって、私もその声の主の方を見た。
「あ‥‥(*・_・*)」
 私の心の中に、今まで感じたことのない、初めて感じる不思議な気持ちが沸き起こった。私の目線の先には、見上げるくらい背が高い、俗に言われてるよりも「超イケメン」な若い男性教師がいた‥‥。
「ところで、その眼鏡は?」
「あ‥‥こ、こ、ここに落ちてたんですっ(////)」
 例の眼鏡を持っていた未帆さんは、頭の上から湯気が上がるほど真っ赤な顔をして、彼の目の前でかちんこちんになっていた。
「落とし物か‥‥ちょっと貸してくれないか?」
「あ‥‥は、はいっ!」
 完璧にかちんこちんの未帆さん。ぎこちなく彼に眼鏡を差し出した。

「ねぇ、なるみさん。あの人は?」
「新潮 雅先生‥‥先週あたし達のクラスに来た教育実習の先生〜」
「そうなんですか‥‥」

 内心、なるみさん達が羨ましかった。こんな超イケメンな先生とクラスで一緒だなんて‥‥。
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