Novel.1

□Lesson 1b
1ページ/12ページ

ムンパレ☆カルテットのセーラー白書

Lesson 1 すべてはこれから! 旧校舎の死神(後編)


「さて、ゲームを始めようか‥‥」

 自分自身を死神と名乗る骸骨男、デス・サーティーンが語り始めた。気絶したほしを気遣って一ヶ所に固まっていたあたしたちは、ふいと奴の方に視線を向けた。その時、奴の身体は青く淡い光を放ちながら、空中に浮かび始めていた。
「ルールは至って簡単‥‥時間は無制限。俺から逃げ切るか、この俺を倒すことができればお前達の勝ち。捕まったら負けだ。ただし、お前達が負けたときは‥‥」

「負けた、ときは‥‥?」

「こうなる‥‥」
 なるみの言葉に呼応するかのように奴はそう言うと、左腕をばっと水平に上げた。奴の背後には倒れ、眠ったままの少女達と、その身体の上に浮かぶ青白い珠玉の群れが、あたしたちの視野全体に浮かび上がった。
「この者達の上に浮かぶのは全て、この者達自身の魂。このゲームに負けた者は皆、幽体離脱をしたまま、この場所に眠り続けるのだ‥‥永遠にな。くくくく‥‥」
 奴はそう言うと不気味な笑い声を発した。あたしたちの心に戦慄と恐怖が同時に走った。

「さぁ‥‥ゲーム、開始だ!」

 デス・サーティーンが宙を舞い、大鎌を振り上げ迫ってきた。

 ブォン! ズガァ!!

「「「きゃあっ!」」」
 奴が大鎌を空中から振り下ろした。振り下ろされた大鎌の鋭い切先はなるみの足元の床を激しく叩き壊し、破片を周囲に四散させた。
「なるたん逃げよっ!」
「うんっ!」
 こやとなるみがいち早く立ち上がり、この場から逃げようと動き出した。
「ちょ、ちょっとこや! なるみ!」
 あたしは焦った。早く逃げないとあの女子生徒達のように幽体離脱状態にされてしまうし、だからと言って気絶しているほしを見捨てて行く訳には行かない。

「まとめて二人ぃ!!」

 奴が再び鎌を振り上げた。
 間違いない。あたしとこやを狙っている!
「ちょっと待ってってば!」
 あたしはこやを背負うと、こやとなるみを走って追った。その瞬間、デス・サーティーンの鎌があたしの背後を掠める風切り音と、床を叩き壊す音がほぼ同時に背後から響いた。
 まさしく間一髪だった。

「ほぉ‥‥よくぞかわした。だが、いつまで逃げ切れるかな?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ