Novel.1

□Lesson 1a
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ムンパレ☆カルテットのセーラー白書

Lesson 1 すべてはこれから! 旧校舎の死神(前編)


「みほっち〜っ! まぁだぁ〜っ? 学校遅れるよぉ〜っっ!」

「どわぁ〜っ! ちこくしちゃうぅ〜っっ!」
 あたしの名前は翠河未帆。花園学園中等部の2年生。
 幼なじみのこやの声に促され、ベッドから飛び起きたあたしは、速効で制服に着替え、歯を磨いて髪をとかして、
「いっへひはぁふ!」 トースト一枚くわえたままでばたばたと家を出てきたのは、いいけれど‥‥
 今日は何かが違ってた。
「おっはよ。未帆」
「さっすがみほっち。呼んで3分もしないで出てきたぁ」
 門の外にはなるみとこや、そして、
「おはよ‥‥」 同じく幼なじみだけど1年生のほしが待っていた。
「おはほ‥‥むぐむぐ‥‥ぷはっ」
 あたしはさっきまでくわえていたトーストを一気に口の中に押し込み、飲み込んだ。
「う‥‥みんなどうしたのよぉ!? 早くしないと遅刻」
「7時58分‥‥」 携帯の時計表示を見ながらほしが一言。
「しちゃ‥‥う?」
 その瞬間、こやを除くあたしたち3人の額から汗ジトマークが浮かんだ。
 あたしたちが通う花園学園の登校時限は8時30分。あたしの家から学校までは歩いても10分あれば十分着くってのに、今日はあまりにも早過ぎる。
「どうしたのよ、いったい? こんな朝早くにぃ」
「じ、実はぁ‥‥こやちゃんが‥‥」
 あたしの問いに対し、申し訳なさそうな顔をしながらなるみがこう言った。
「今日の占いでね‥‥」
「そうそうっ! 今日のフォーチューン・フローリアの占いでさぁ! 今日はすってきな出会いがあるからぁ、早く家を出なさい、って出てたのぉ〜っ(*^^*)」
 間髪を入れず、こやが話に割り込んだ。
 フォーチューン・フローリアって言うのは最近クラスの女子の間で流行ってる占い系の携帯サイトのこと。何でも会員になると着メロの無料ダウンロードができるらしいけど、あたしはまだそのサイト自体見たことが無い。
「実はあたしも、こやちゃんに叩き起こされちゃったんだ‥‥」
「私も‥‥ふわぁ」 なるみが語った後、ほしも一言言うとあたしの目の前で大あくび。
「こぉやぁ〜。あんたねぇ‥‥」
 あたしはこやに食ってかからんとばかりににらみ付け、
「へ?」
「いくら素敵な出会いが、って言ったって、あんたには薔薇宮先輩って憧れの人がいるでしょう!?」
 と、罵声を浴びせた。が、
「それはそれっ! これはぁこれっ!(^^)」
 こやは見事に切り返した。悪びれた感じの無いこやの笑顔と態度を目にし、さしものあたしもただ、その場で呆れ返るしかなかった。
「‥‥ンもぉ」
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