Novel.1
□Lesson 3
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−−−ここから、こやサイド−−−
「はぁ、はぁ、はぁ‥‥あぁ〜んっ! 今日当番だったぁ〜っっ!!」
あたし、蒼河こや。中等部2年生。
朝っぱらから薔薇宮先輩のおっかけをやったのがいけなかったわ。今日、クラス当番だった事をすっかり忘れていたの!
クラス当番は毎朝ホームルーム前に職員室に行って、担任の先生から言付けがあれば、それを聞いておかなければならないの。
もうホームルーム開始の10分前!
やぁばぁ〜いぃ!!
「おはようございますっ!!」
薔薇宮先輩をおっかける位のスピードで廊下を駆けてきたあたしは、職員室に滑り込んだ。
「たまき先生っ! なんか言付けは‥‥ありま‥‥せん‥‥か‥‥」
「☆※○★□◎!!!!」
あたしの目に信じられない光景が飛び込んできた。知らない女子生徒が、新潮先生の腕にしっかりと抱きつき、またあと二人の女子生徒にも囲まれていたの。
そんな光景を見ているうちに、あたしの胸の奥で、メラメラと炎が燃え上がるような感じがした。怒りの炎とは違う、別な炎が喉の奥まで込み上げてきた。
「おっ、今日ん当番は蒼河かいな。今日は特にないで」
と、たまき先生が言ったけど、あたしには聞こえなかった。
何故なら、あたしの心はあの子らへの嫉妬の炎で燃えていたから‥‥。
(おい蒼河ぁ)
よりによって、あたし達の新潮先生に、べっ‥‥たりとっ! くっついてるあの子らっ!!
(‥‥蒼河?)
だれよっっ!!!!
「ぅわっこぅわぁ〜っ! どないしたんや蒼河ぁ!? 顔、鬼になっとるで!」
「えぇっっ!?」
耳元で響いたたまき先生の声。その瞬間、あたしは我に帰り、思わずコンパクトを取り出して、その鏡を見た。鏡に映っていたのは、いつものあたしの顔。
「うそぉ!?」
「うそちゃう。さっきまでの蒼河、マジ鬼みたいな顔になっとったで」
「‥‥う〜ん」
あたしは再びコンパクトの鏡を覗き見た。右、左、上下と顔の向きを変えながら。そして、
「今日のこやちゃん元気なこやちゃんっ♪」
鏡に向かって、思いっきりかわいい顔をした。周りが呆れているのもお構いなしで。
「ねぇなぁにぃ? あの子ぉ」
「ちょっとおかしいんじゃない?」
「いっしょのクラスにはなりたくないですぅ」
その時、あたしの耳に飛び込んできたのは、あの3人の女子生徒の声。
ムッカァァァァ〜〜〜ッッ!!!!
「ぅわ‥‥また鬼や」