Novel.1

□Lesson 2
4ページ/19ページ

 そして、土曜日の朝。

「あぁもう。どうしてあたしたちの学校は週休二日じゃないのかなぁ〜」
「せっかくのどよぉなのにぃ〜」
「仕方がないわよ。休み決めるのは理事長先生なんだし」
「‥‥(眠い)」
 私が寝坊してしまったせいで、今朝は早朝監視ができなかった。未帆さん達は別にとがめはしなかったけど、結局普段よりは早めではあるが、私達は学校へと向かった。
 生徒通用口の渡り廊下辺りまで来た時だった。

「あぁ〜っっ!!」

 突然、こやさんが叫んだ。そして、一目散に渡り廊下へと走って行った。
「こや!?」
「こやちゃん、どうしたのっ!?」

 私達がこやさんにやっと追いついた時、当のこやさんは渡り廊下中央に座り込んでいた。
「こやさん?」

「ばらみやせんぱいのくつだぁ〜‥‥くんくん‥‥ばらみやせんぱいのにほひが‥‥」

 ずざざざざざ〜っ!!

「「「んが‥‥☆」」」
 何と、こやさんは片方だけ落ちていた薔薇色の厚底靴を抱きしめ、頬摺りし、さらには靴の匂いまで嗅いでいたのだった。まるでマタタビに酔った猫のようなこやさんの目に余る姿に、私達三人はその場で見事にずっこけてしまった。
「だぁぁぁぁぁぁ☆!! あんたは靴フェチかいっ!!」
「何やってるんですか!?」
「恥ずかしいからやめてぇ〜っ!!」

 と、その時だった。

「おい‥‥」

 私達の真上から女性の声がした。私達3人も、そしてこやさんも天井のほうをふいと見上げた。

「なにやってんだぁ、こや‥‥見てるこっちも‥‥くっ、恥ずかしいぜ」

 その華奢で小柄な姿とは似ても似付かない、ややコワモテな声。でも、私ですらわかる、この声。
「ああっ!?」
「まさか‥‥!?」
「ば‥‥薔薇宮、先輩?」
 そう。今度の「逆さ宙ぶらり」の被害者は薔薇宮先輩だったのだ。「逆さ宙ぶらり」と言っても、薔薇宮先輩はロープで結ばれた右足をかばうかのように身体を曲げ、ロープを両手でしっかりと握り締めた状態で天井にぶら下がっていた。
 でも、薔薇宮先輩の表情は相当苦しそうな感じがする。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ