Text

□魔法は知らないうちに。
2ページ/3ページ

「失礼します。」
からからとドアが開き、凛とした声であいさつをするのは。

「おはようございます。リナリー」

今日起きてから一番の笑顔を彼女に向けた。

「あっ!?アレンくん・・。また、さぼってる。」

あきれた顔をしながら、僕の隣の席に座ったリナリー。
あははと小さく笑えば、もう駄目だよ
さぼったりなんかしちゃと言う。

「じゃあ、リナリーも早く教室に帰らないんですか?
先生も心配してますよ」

「う。私に帰ってもらいたいわけ?せっかく、アレンくんの
為にここまで来てるのに。」

「まぁ、怒らないで下さいよ・・」

そんな風にして彼女と話し出す。
毎朝、保健医のミランダ先生に頼まれて
保健委員会の彼女は僕の様子を見にやってくる。
幼馴染の特権と言うところか。
不登校だった僕もこの条件なら学校にやってくるだろうと
先生も考えたのだ。まぁ、まんまとこの罠にはまっている
僕も僕だけれど。

「うん。でも、リナリーがちゃんと毎日きちんと
来てくれるのは僕に惚れてるからですよね。」

冗談で、言ってみたのだけれども
彼女は顔を真っ赤にして俯いていた。

「っ・・そんな訳ないでしょ!!」

がんばって、本気で否定する彼女が可愛くて可愛くて
仕方がないのだけれども。

「・・・、もう行かなくちゃ。授業始まっちゃう。
アレンくんも一時間目ちゃんと出るんだよ!!」

「はぁぁい。」




*
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ