TOT夢連載【太陽の花】

□第25話 【魂の都】
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ロミー
「あなたのお父さんも
ナトウィック夫妻を殺した時は、
さぞ楽しかったんでしょうね・・・ ・・・」


ルビア
「やめて・・・ ・・・」



両親の死を聞くに忍びなくなり、
ルビアは強く耳を塞ぐ。



カイウス
「うそだ!父さんはやっていない!
全部、おまえがやったんじゃないか!」


ルビア
「やめて!」



叫ぶように声を荒げると、
その場へ座り込んでしまった。



ルキウス
「やめないよ。」



冷めた口調で淡々と先へ話を進める。



ルキウス
「リカンツこそ
命を軽視しているという証拠もある。
君達の持っているペイシェント。
あれは、リカンツの魂そのものだ。」


カイウス
「狽ネんだって?」


ルキウス
「君が近衛騎士から受け取った
ペイシェント。あれは
数千人分のリカンツの命なんだよ。」


フォレスト
「狽ネっ・・・ ・・・!?数千だと・・・ ・・・?
そんな事があるものか!」



ペイシェントの意外な真実に
一同・・・衝撃を受けた・・・

人を媒体としていると聞き
誰もが動揺を隠せないのは仕方無い。



ルキウス
「確かに、現在の技術では考えられない。
でも100年前のリカンツには
可能だったんだよ。そもそも
【獣人戦争】とはリカンツが始めた、
リカンツ同士の戦争だった。」


『獣人戦争の真相が同士討ち・・・』


ルキウス
「その最中、
レイモーンの都の宰相クベールは
都を取り囲んだ反乱軍に対し、
強力なプリセプツで対抗しようとした。
しかしそのためには 力の元になる、
強力な触媒が必要だった。
そこでクベールは
触媒の材料として都の民を選んだ。
彼らの魂を吸い出し、その結晶を
触媒とした。そうして作られたものが、
君達も持っている ペイシェントだ。
同族が国を裏切り、
住民の命を石に変えた。」


ティルキス
「ほ、本当なのか・・・ ・・・」


フォレスト
「ば、ばかな・・・ ・・・」


『命の石と呼ばれていた由来は
レイモーンの民の魂そのものを
封じ込めていたからだったなんて・・・』



理解しがたい事実に驚愕し言葉を失い、
その場は沈黙を保つ。



ロミー
「これでわかったかしら?
狂っていたのは、
あなた達のご先祖様なのよ!
それを利用させてもらって、何が悪いの?
その死んだリカンツ達も
復活させるという教皇様のご慈悲。
理解して欲しいわね。」


ルビア
「うそ!もう、嘘を言わないで!
おじ様が、
お父さんとお母さんを殺したなんて!
レイモーンの民が仲間を殺して、
ペイシェントを作ったなんて!
ほんとの事を言いなさいよ!」



耐え切れなくなり半狂乱になりながらも
立ち上がるとロミーに掴み掛かる。



ロミー
「さぁ、どうするの?私を殺すつもり?」


『止めて、ルビア!!』


カイウス
「ルビア、よせ!」



止めるべく飛び出すが
ルキウスに道を遮られてしまう。



ルキウス
「悪いけど、君達の相手はこのボクだ。」


カイウス
「狽ヌけえー―っ!」


『わ、私・・・あなたとは戦えない・・・ ・・・』



いきり立ち向かい行くカイウスと違い、
ルキウスの胸の内を少し覗いたばかりに
手を出せないフォルテは
顔を歪めながら
その場で立ち竦み動けなくなった。



アーリア
「危ないフォルテ!」


ティルキス
「くそっ!アーリアはフォルテを・・・
フォレスト、俺達は援護に行くぞ!」


フォレスト
「はい!!」



以前同様に
アーリアへフォルテを任せると
2人はカイウスの援護にと向かう。



アーリア
「大丈夫なのフォルテ?」


『・・・ダメ・・・駄目なの戦っては・・・
ルキウスは、カイウスの・・・』



心配する声も聞こえず、
止めようと呟きを繰り返す・・・

だが、重なる心労に耐えきれず
意識を手放してしまっていく・・・


倒れる前に見た光景は
兄弟である2人が互いに向き合い
対峙する姿であった。



→第26話 終
→第27話に続く・・・
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