TOH夢連載【沙羅の実】

□第4話【始まりの刻】
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コハク
「お兄・・・・・・ちゃん・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・やめて。」


ルベラ
『コハク・・・ちゃん・・・?』



コハクを見ると、その胸には、か細いながらも 光りが溢れている。



ヒスイ
「なんだあの胸の光は・・・・・・?」


ルベラ
『・・・あれは、コハクちゃんに残る、
スピルーンの欠片・・・』


シング
「スピルーンが・・・・・・まだ残ってる!?」



先程までの怒りを静めたヒスイは、コハクへと正面から向き直る。



ヒスイ
「・・・・・・コハクはケンカや弱いものイジメが大嫌いなんだ。
俺がケンカする度に、いつも怒って止めに来たっけ。
起こり方は忘れても・・・・・・
この【優しさ】だけは消えてねぇんだな。」



どこか淋しそうにそう言うと、そこにゼクスが口を挟む。



ゼクス
「うぅッ・・・・・・そうだ。
まだ、その娘のスピルーンは
失われていない・・・・・・
飛び散った欠片を全て集めれば・・・・・・
元のスピリアを取り戻せるはず・・・・・・だ。」



ヒスイ
「狽ル、本当か!?」


ゼクス
「ああ、きっとソーマの力が導いてくれる・・・・・・

詳しくはルベラに・・・ぐふっ!(苦)」



激痛にて血を吐いた姿に、心配顔でシングは駆け寄った。



シング
「・・・・・・ああッ!
ヒスイ、ルベラ、お願いだ!!
ジィちゃんに回復術を・・・・・・」


ゼクス
「いや、その青年とルベラは十分やって・・・・・・くれたよ。
ワシがもう無駄だと・・・言ったのだ。」


シング
「そんな・・・やだよ、ジィちゃん!
オレ、どんな命令でも守るから・・・
だから・・・・・・・・・・・・
・・・・・・死なないでッ!!!(泣)」



涙を流す孫に苦しくも微笑んで見せる。



ゼクス
「こら・・・・・・シング。
また激しい感情に・・・・・・
のみこまれておるぞ?
感情に流されない・・・・・・
強いスピリアを育てるんだ。
これは【命令】じゃない・・・・・・
ジィちゃんとの・・・・・・【約束】だ。」


シング「うん・・・・・・うん!
【約束】する!!」



横になるゼクスにも見えるように目一杯、首を振ってみせた。




ゼクス
「いい子だ。
それ・・・と、ルベラは、居るか・・・」


ルベラ
『はい・・・ここに居ります。』



シングの隣に座り、手を握りしめる。



ゼクス
「シングは、世界の事を・・・何も知らん。
ワシの・・・・代わりに、全てを教え・・・
シングを守ってやってくれ・・・
これは最初で最後の、【願い】だ・・・」


ルベラ
『はい、任せて下さい。
・・・必ず守って見せます・・・(微笑)』


ゼクス
「ありがとう・・・ルベラ・・・」


ルベラ
『・・・・・・はい!!』



ルベラとの会話を済ませると、シングに向けて手を伸ばした。



ゼクス
「信じて・・・・・・いるぞ・・・・・・
お前の真っ直ぐなスピリア・・・・・・は
・・・・・・に・・・・・・ないと・・・・・・」



苦しんだにも関わらず、安堵の表情を浮かべ、息を引き取った。



シング
「ジィ・・・・・・ちゃん・・・・・・・・・・・・
ジィちゃぁーーーーーんッッ!!!



ルベラ
『ゼク、ス・・・爺様ァ・・・・・・(静泣)』



シングはゼクスの亡骸を抱きしめ大声で泣き叫び…

ルベラは両手で顔を覆い声を潜め泣きだし、ヒスイが優しく抱きしめてくれた。




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