TOH夢連載【沙羅の実】

□第4話【始まりの刻】
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どれだけ走ったのだろうか・・・

傷ついた身体へ鞭を打っているせいか、いつもより息が上がるのが早い。

それに、奥に奥にと進むにつれて迷宮に漂う空気が変わるのがヒシヒシと肌に伝わってくる。

しかも途中で追い付くことは叶わず、スピルメイズ最奥に到達してしまう。

そこには、七色に光り輝いた、全ての感情を生み出すスピリアの中枢である、スピルーンが姿を現した。



ルベラ
『あっ、あれはシング君と・・・誰?』



スピルーンの前には、人間離れした美貌を持ったエメラルドの髪色をした少女が1人。

少女とシングが対峙しており、何かを言い争っているように見える。

しかも、シングに纏う雰囲気が先程とは明らかに違い、冷ややか瞳で少女を睨む。



シング
「大体、お前はなんなんだ?
お前がこの少女を苦しめているんじゃないのか?」


少女
「ち、違います……
コハクとわたくしは……」


ルベラ
『狽っ!!(あれはゼロム・・・)』



少女の声を遮るように出現したゼロムを、邪魔だと言わんばかりにシングはソーマを一振りして消し去った。



少女
「・・・・・・その力・・・・・・?
Σあ、貴方は・・・・・・!!」



頭に血が上りきり人が変わったようなシングは、少女に剣を手に襲い掛かるが、ひらりと素早く その一線を交わす。



ルベラ
『駄目、シング君ッ!!!』



暴走した状況に気付き、大声で口を挟んでみるが、全く聞こえていないようだ。



少女
「ごめんなさい、コハク!」



苦々しい表情で小さく呟く声が響き、開いていたスピルーンの花がゆっくりと閉じた。



ルベラ
『博~めて、シング君!!!』



なおも叫んでみるものの、やはり声は届いていないようだ。



シング
うおおぉぉぉーーーッッ!!!



怒りのスピリアに蝕まれ、我を忘れ始めた頃、ゼクスの声が聞こえてくる。



ゼクス
「いかんぞ、シングッ!」


シング
「・・・・・・Σはッ、ジィちゃん?
ああ、なんだこの力は・・・・・・!?」


ルベラ
『シング君、早く心を落ち着けて!!』


シング
「え、あっ・・・!!」


暴走してしまった力を制御しきれるはずも無く、ルベラまでも巻き添えにして、莫大な力が解放されてしまう。



シング「狽、あぁぁぁーーーーーッッ!!


ルベラ『買Lャアァァーーー!!!



凄まじいその力に抗う術もなく、コハクの身体から光の玉となり、2人は弾き飛ばされてしまった。





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