TOT夢連載【太陽の花】

□第15話 【静かな語り】
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先程まで聞こえた足音の人物は
どうやら近くの部屋に入ったらしく
その音は聞こえてこなくなっていた。

安堵したのも束の間であり
今まさに、この口を塞ぐ人物が
自分にとって敵なのか味方なのか・・・

ここが教会である以上は
味方である可能性を考えるよりも
敵である可能性の方が高い。

もし敵であるなら
、今の状況下から逃げる事は困難。

そんな風に逃げる算段を
色々巡らしていると、
相手の方から声が掛かる。



???
「今から身を解放するが、
教会の者に知られたくないのなら
声を荒げるな・・・いいな?」



高くも低くもない落ち着いた声が
静かな部屋にと響き渡る。

フォルテが小さく頷くのを確認し
塞いでいた手を降ろし、身体を離す。

誰なのか確認するべく
目深に被っていたローブを
脱ぎ捨てながら振り返ると、
部屋が薄暗いながらも
その姿を確認する事が出来た。



『えっ・・・貴方は・・・ ・・・
何故、私を助けてくれたの・・・
貴方は私達を捕まえたい筈でしょ?』



驚くのも無理もない・・・
そこに居たのは意外な人物であった。

そう、目の前にいた人物とは・・・

フェルン村に突如として現れ
ラムラスを連れて行ってしまった
異端審問官 所属
【ルキウス】と言う少年であった。


何時もは着けている仮面を
今は珍しく外し、素顔を晒している。



ルキウス
「・・・今、君が他の者に捕まると
残り2人の居場所が分からない。」


『成程ね・・・
でも、2人が危険に晒されるような事
少なくとも話す気にはならないわよ。
私の出過ぎた行動で
迷惑は掛けられないもの・・・ ・・・』



視線を落としながらそう答えると、
ルキウスは予想外の反応を見せる。



ルキウス
「分かった・・・ひとまず今は
2人の居場所は聞かないでおく。
そして・・・君をこの場では捕らえず、
無事に仲間の元に返すと約束しよう。」


『Σ!!でも・・・それだと
貴方に何も利益が残らないわ。
他に何かしらの目的があるのよね?』



敵である相手が理由も無く
そんな申し出をするはずがない。

そう不信感を抱きながら問い掛けると
ルキウスは少しだけ眉を潜めた。



ルキウス
「目的・・・ ・・・そうだね・・・
目的や意味などは特にはない。
だが、君に興味があるのは確かだ。」


『私に興味って・・・?』


ルキウス
「とりあえず、
君の名を教えてもらえるかな・・・
僕の名前は知ってのとおり、
異端審問会所属のルキウスだ。」



今も無表情なままではあるが
彼の瞳の奥はとても澄んで見え、
どこか仲間といる様な安堵を感じる。

だからなのか、
素直に名前を口にする事が出来た。



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