TOT夢連載【太陽の花】

□第4話 【異端審問官】
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昨夜の出来事から時が経ち、それぞれがいつもと違う朝を迎える。


そんな中フォルテは、村人のあからさまな態度……
これからの事をずっと考えており、一睡もする事なく、椅子に座っていた。



フォルテ
『直ぐにでも村を出るのが、一番、なのかな…』



呟きながら部屋を見渡しながら、村を出ることになり得ると考え、必要最低限の物を荷物にまとめていく。


ある程度の荷物がまとまった頃、先程まで静寂を守っていた村中が騒がしくなっている事に気づいた。



フォルテ
『…また、カイウスとおじさんに何か?!』



外の様子を伺うように少しだけ扉を開けて覗いてみると、広場の中心部に村人達が集まり誰かと話しているのが見えた。

こんな早朝に誰が村に来たのかを知るべく、目を凝らし、その人物に視線を移す。

よく見るとその姿から、この国に暮らす者達ならば誰もが見知る格好。

仮面で顔の上半分を隠し足も見えぬほど長いローブを着込み、その手には杖を持っている2人の少年と少女……



フォルテ
『あれは、異端審問官ッ!!
なんでこんなに早く駆けつけ…
Σっつ…
まさか、村の誰かが、ジャンナ教会へ知らせ…』



この国を支えるとされる異端審問官は、アレウーラの何処かに隠れ住むレイモーンの民を1人残らず捕え、この世界から消し去ろうとしていた。

レイモーンの民とは、この国に存在するアレウーラの民がリカンツと蔑んでいる者達の正式な種族の呼び名だ。

異端審問官である2人の名は…
少年がルキウス、
少女がロミーと名乗っていた。


ここに異端審問官が来たのなら、レイモーンの民であるラムラスは疎か…
カイウス…フォルテへも手が伸び、今直ぐにでも捕えられてしまう。

最悪の事態にならない為にも、早く村を去らなくてはいけないのは明白な事柄であった。



フォルテ
『とにかく直ぐにでも、おじさんに判断を仰がないと…』



まとめ上げた荷物を背負い上げると、誰の目にも留まることの無きようにと、音も立てず静かに扉を開く。

だか、その様子を異端審問官であるルキウスが気づき、その姿を目で追っていたのだった。

だが、仮面で顔を隠していたために、その視線にフォルテは全く気づかず、カイウスの家に走り去っていってしまった。



ルキウス
「あの少女は…
(どこかで見たことがあるような)」


ロミー
「あらルキウス、何かを見つけたのかしら?
もしそうでないのなら、早く司祭の所に行くわよ。」


ルキウス
「(多分、気のせいだろう)
…ああ、わかっている。
お前達は村の入り口を固めろ、誰も外へは出すな。」



ルキウスはフォルテが気になったが、直ぐ様そんな思いを消し去り、連れてきた僧兵達へと一言残して司祭の元へ足を向けて歩いた。




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