TOH夢連載【沙羅の実】

□第4話【始まりの刻】
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景観のいい岬のほこらでソーマを眺めていると、コハクとヒスイを追ってきたインカローズという名の女魔導士からの襲撃。

コハクはスピリアへの干渉を受け、ゼクスまでも息が絶え絶えになってしまった。

比較的軽症なルベラは意識を失い気絶をしていた。

ヒスイがコハクとルベラ、シングがゼクスを背負い、その場から逃げ出せたのは運が良かったであろう。


急ぎシーブル村まで戻ると、苦しむゼクスとコハクを見て村人達は青い顔を浮かべ、騒ぎ始める。



青年
「ど、どうしたんだ、シング!!
ゼクスさんは・・・・・・大丈夫なのかッ!?
そっちのお嬢さんも大丈夫か!!」


若奥
「狽あ、なんてひどい傷・・・・・・
シング・・・・・・一体何があったの!?」


青年
「今すぐ医者を呼んでくるから
とにかく、早く家に!!!」



シングは説明する余裕などあるはずも無く、言われるまま家に運び入れる。

ベットは2つしかないので、身体の小さなコハクとルベラを一緒のベットに寝かせた。



シング
「ジィちゃん! ジィちゃん!!」


ヒスイ
「邪魔だ、どけ!」



その場からシングを押しのけると、回復の思念術を唱える始めた。



シング
「ヒスイは・・・・・・
・・・・・・回復術が使えるの?」



ヒスイ
「ああっ。
だが、この傷は俺程度の回復術じゃあ・・・・・・」


シング
「オレのせいだ・・・・・
オレじゃなくジィちゃんがソーマをつけてれば、こんな事にはならなかったのに!」


ルベラ
『シング君は、あまり自分を責めないで・・・』



悔しそうに2人が呟いていると、気絶していたはずのルベラが、いつの間にか目を覚ましており、優しい声色で口を開いた。



シング
「買泣xラ!!」


ヒスイ
「起きても平気なのか!!」


ルベラ
『私にスピリアの干渉は効かないし、傷は浅かったので大丈夫。
それよりも、ヒスイ君の代わりにゼクス爺様は、私が・・・』



傷付いた身体を起こし立ち上がると、止める声も聞かずゼクスの手を握り、傷口に意識を集中させるように思念術へ癒やしの歌を乗せた。

ルベラがゼクスの回復を始めると同時に、今度はコハクが苦しみだす。



コハク
「うう・・・・・・うぁぁッ!(苦)」


シング「ああッ・・・・・・
コハクにも回復術をかけてあげてよ!」



ヒスイ
「いや、コハクに外傷はねぇ。
あの野郎、コハクのスピリアに術をかけやがったんだ。
スピリアが蝕まれたら、回復術じゃどうしようもない・・・・・・」


コハク
「はぁ、はぁ・・・・・・うぐぅ!(苦)」



胸を押さえ苦しむ姿に、シングが意を決した発言をする。



シング
「・・・・・・・・・・・・オレがやる。
オレが、コハクのスピリアに
ソーマでリンクして術を解く!」


ヒスイ
「泊メて、待て、待てッ!
手引書見てるよーな奴にできんのかよ!?
それより、回復が終わり次第ルベラに任せて・・・」



無謀な考えを止めようと腕を掴むが、シングは悲痛な声色で叫ぶ。



シング
「できなくてもやるんだ!
ジィちゃんの代わりに!!
そりゃ、ルベラに任せれば助かる確率は高いかもしれない・・・
でも、回復が終わるまで待ってたら、コハクのスピリアが危なくなる確率も高いんだ!!」


コハク
「ああ・・・・・・うぅぅッ!(激苦)」



更に呻き始めるその姿に、なす術もないのを実感してしまい、目を伏せて呟いた。




ヒスイ
「くそッ、最悪すぎたろ!?」


シング
「じゃあ、行くよ!!」



ソーマを構えスピリアに思念を送ると、眩い光と共にコハクの中へと吸い込まれていく。





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