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□納涼祭
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夏のお盆休みに入る前に、天界商事と流星商事で合同の納涼祭が行われることになった。
納涼祭の会場は双方の会社の位置から計算して、一番近場の『ケダモノビーチ』だ。
参加している社員の数は百名ほど。
実のところ、参加希望者は五百人は越した。
そのような大人数で納涼祭が行えるわけがないので、抽選により参加者は百人にまで絞られた。
「海だー!」
元気一杯に海に飛び込むガイ。それに続いてマヤも飛び込む。
楽しそうにはしゃぐ二人を見て、仲間たちは自然と笑みがこぼれる。
「どれ、おれも泳いでこようかな」
肩を回しながらゴウは誘いを持ちかける。
「あの少し離れた岩場まで競争してみないか?」
「いいだろう。相手になるぞ。ルカはどうする」
ゴウの誘いに応じたユダはルカにも誘いをかけてみたが、
「やめておくよ」
断わられた。
二人が競泳を始めると、先に海に入っていたガイとマヤは感嘆していた。
「すごいね、あの二人」
「ああ、すっげー泳ぐの早ぇ…。ん?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもねーよ。それよりもオレたちも何か競争してみるか。どっちが長く潜っていられるか、とか」
「うん!ボク、負けないからね」
ガイが見つけたのは砂浜で人目を憚らずにユダを応援するシヴァの姿だった。