〜if〜
□バー『聖獣』にて
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「たまに三人で飲みにいかないか?」
天界商事に勤める若き部長トリオの一人ユダが、仕事に区切りがつきそうな頃を見計らって二人に声をかけた。
「悪い、今日は用があるんだ」
トリオの一人、ルカは申し訳なさそうに断る。
「おれは大丈夫だが、ルカが行かないならまた別の機会にするか?」
トリオの一人、ゴウはすでに仕事を済ませ、片付けに入っている。
「わたしのことなど気にせずに、二人で行ってくるといい」
ルカはすでに帰り支度を整えており、いつでも帰れる体勢だ。
「ならそうするか。ゴウ、付き合ってくれるか?」
「ああ、かまわない」
「すまない、今度埋め合わせはするから。じゃ、お先に」
─30分後…。
「手伝わせて済まなかったな」
「別に大したことはしていない」
区切りはついていたものの、多少手間取りゴウの手を借り、ようやく会社から出てきた二人。
向かった先は、天界商事の近くにあるバー『聖獣』。
ここは、店独自のカクテルを出してくれる。
店舗名にあやかってか、カクテルの名称は全て聖獣の名がついている。
店に入りカウンターに座り、お気に入りのカクテルを注文する。
ここではすでに「いつもの」の一言で注文は成立する。
それだけ行きつけているということだ。