短編夢

□遭遇(妹視点)
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私、今凄く心臓がバクバクいってる。
だって、今、モデル並にスタイルのいい自称保険医の人からお姫さま抱っこされているんだもん。

自称保険医というのは、こんなにかっこよくて、全身黒ずくめな人が保険医のはずがないという私の偏見からだ。


「白衣は着てないけど、わたしは正真正銘の保険医だから、そう固くならなくてもいい」

「は、はい…」


心を見透かされた?
身体が強張ってしまうのは仕方がないと思う。
だって、初対面の相手からお姫さま抱っこ…。

誰にも、誰にも見られませんようにっ!
特に兄には見られたくないかも。


「はい、保健室」


私は保健室のベッドに寝かされ、タオルに巻かれた保冷剤とペットボトルに入ったスポーツ飲料水を与えられた。


「わたしは向こうで作業しているから何かあったら声をかけるように」


そう言うなり、ベッドを囲むように設けられているカーテンをひいてしまった。

本当に保健室の先生だったんだね、あの人。


周りの視界をカーテンで遮られ、これといって見るものが何もない。
せっかく休ませてくれてることだしお言葉に甘えることにしよう。

それにしても、貧血だったのかな…。それとも暑さのせいで軽い熱中症にでもなったのかな、私。


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