神羅万象小説
□スキンシップ
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「シッオ〜ンッ!」
急に空から何かが舞い降りてきて、シオンに抱きついた。
「ななな、何っ!?」
いきなりのことに慌てふためくシオン。
「会いたかったわぁ〜」
ぎゅぎゅ〜っと、シオンを熱く抱擁するのは、なんとマステリオン戦の時に剣を交えた相手、魔将軍アスタロットだった。
「な、なんでアナタがここにいるのよっ!?」
「いちゃ悪い?」
「だって異世界の扉には結界が張られているのよ?どうして地上にやってこられるの!?」
「ふっふ〜ん、人間の科学力と魔界の科学力を一緒にしてもらっちゃ困るのよねぇ。人間が作れた異世界の扉を私たちが作れないと思う?」
「ええっ!?」
「元々あった異世界の扉は結界を張って封印しちゃったらしいけど、これじゃ意味ないわね」
まったくその通りである。
「それじゃあ、また地上が混乱することになるじゃないっ」
「あ、それは大丈夫よ。異世界の扉を開く装置は幻魔宮殿の魔元帥の間にあるから、ボスの許可がおりなきゃ使えないことになってるのよ」
「ボス?」
「マステリオンが封印されてから魔界の君主になったベリアールのことよ。彼は今、大魔導ライセンのところへ行ってるわ」
「何ですって!?」
「心配しなくてもいいわよ。別に殺しに行ったわけじゃないから。こうやってスキンシップをとりに行ったのよ」
またもや、ぎゅ〜っと抱き締められる。頬擦りされそうな勢いに、シオンの身体はのけ反らせた。
そして、恐ろしい想像がシオンの頭に浮かんだ。
あのベリアールが、あの師匠を抱き締め、頬擦りしている姿が。
「あああ、あり得ないわぁーっ!!」
空高く、シオンの絶叫が響き渡った。
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