神羅万象小説

□家族
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「よく来たわね、ミロクさん」

「こうして再び会えるようになるとは思いませんでした、姉上、義兄上」


我が主人マキシと無頼神が和解したことにより、我々の仲も自然と修復した。
今、マキシとメリルは束の間の休息をとっている。
数日もしないうちに、使命を果たすため再び旅に出るそうだ。
その前に、私は姉のところへ顔を出しにいったのである。


「どれくらいゆっくりしていけるんだ?」

「そうですね。一日二日程度なら大丈夫かと」

「そうか。なら…「インドラァ〜」


何かを言おうとしたところを、誰かが遮ってきた。

とことこと可愛らしい幼子が走ってくる。

誰だ?

…もしやっ!?


「いつの間におめでた?」


「「は?」」


義兄上と姉上の声が見事にハモる。


「え、だから、そこの…」


幼子を指さすと、幼子は首を横に傾げ、義兄上は慌てふためいた顔をして私の指を下におろさせた。


「モルテ様を指さすんじゃないっ!」


モルテ様?
はて、どこかで聞いたことのあるような。


「ミロクさん、このお方は私達の子供ではないのですよ」

「このお方は羅神帝皇位継承権をお持ちになるサン一族の末裔、サン・モルテ様だ。無礼は慎め」


ああ、道理で聞き覚えがあるはずだ。


「む〜、別に余はそんな肩書きなんぞに興味はない。そこのおまえ、名はなんと申す」

「礼靭将ミロクと申します」

「そうか。ミロクよ!余のことは普通の少女として扱ってくれて構わないぞ!」


普通の少女はこんな風に尊大な態度は取らない気がする。


「それにしても…」


ニコッとモルテ様は笑うと、義兄上と姉上が仰天するようなことを言ってのけた。


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