神羅万象小説
□ある晴れた日の…
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マキシの気高い精神に惹かれた四羅震将は、マキシの仲間になり旅に同行することにった。
(…ねぇ、マスター)
神獄の小瓶の中から、クレアが精神に呼び掛ける。
(ん?)
マキシも精神で応じる。
神獄の小瓶に封じてあっても精神で意思の疎通を図ることができる。
(私たち、外に出たい)
(え、でも…)
突然のクレアの申し出に困惑するマキシ。
(いいじゃねーか、外に出せよ)
神獄の小瓶が左右に揺れる。おそらく、ケルベーダが中で暴れているんだろう。
(よいではないか、外に出しても。すでに我らは君の仲間なのだから)
(そうですよ。小瓶の中は狭くて僕には似合いません。まあ、ぎゅうぎゅうだった神獄の箱よりはマシなんですけどね)
四羅震将は出せ出せと抗議をしてくる。
うーん、と唸りながら、隣で歩くメリルをちらっと見る。
「どうかしましたか?」
「うん…、羅震将たちが外に出せってうるさいんだ」
(うるさくて悪ぃな、退屈なんだよ。つべこべ言わずに出せ)
ケルベーダの悪態に呆れたかのように視線を宙に彷徨わせるマキシ。
(早く出したほうがいいとおもうのだがね…。魂轟将が暴れ出してこちらも迷惑しているんだ)
(ああ゙っ!)
(もうっ!喧嘩しないでくださいっ!マキシ!この中が汗臭くなりますから、早く出してくださいっ!)
ぎゃんぎゃん喚きたてる羅震将たち。
こんなに愉快な奴らだっただろうか。敵対していたときはもっとこう…ビシッとりりしい奴らだった気もするが。
「出してあげてもいいんじゃないですか?」
クスクスと笑いながらメリルが言う。
彼女には羅震将たちの声は聞こえてはいないが、マキシの表情を見れば、ほとほとに困り果てていることが簡単にうかがえる。
「あまりハメをはずし過ぎるなよ?」
このまま羅震将たちを無視することもできるが、後々が面倒でもあり、メリルの許可もおりたので封印を解除することにした。