Helious
□memo
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随分長い間、呆けていたと思う。
「・・・・・」
『・・・・・』
医者の説明も、耳に入らなかった。
***
ばさっ
『!』
帰り道、不意に肩に重みを感じた。
見れば、彼の愛用しているコート。
「…体、冷えんだろ」
『…あ、りがとう。』
いつもと違う状況にドキドキして、お礼も中途半端になった。
「…まぁ、あー…なんだ。」
ぎゅっ
「ありがとな」
―背中から抱きすくめられ、
その手は自分の腹をぎこちなく、しかし優しい手つきで撫でていた。
“幸せ”。モニカは大きく噛みしめていた。
『名前、考えないとね』
「あぁ」
『そのまえにおじいちゃんに報告しなきゃ。みんなにも』
「あぁ…そうだな」
…この数時間後。
いつも以上にギルドで大騒ぎをする<妖精の尻尾>に、
なぜか号泣するマスターマカロフと雷神衆。
そしてみんなの中心で微笑む2人がいたのだった。