Helious

□mada
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『…“おにいちゃん”!!!!!』

「・・・!」


数年ぶりの呼ばれ方に、思わず反応した。


「モニカ…!!」
「お前、何しに…、!?」


何とかして振り返るナツとガジル。
…あの状態のラクサスを見て、一瞬怯えた彼女だったが、
意を決して、震えながらモニカは続けた


『…マスターが…、"おじいちゃん"がッ…危篤なの…!!』

「「「  !?  」」」

『今ポーリュシカさんが看てッ…、おねがい、はやくっ、会いに行って!』


何とか言い終えて、溢れる涙に濡れる顔を覆う。
今すぐ、今すぐ、おじいちゃんのもとへ。


―しかし、次に聞こえた言葉を
モニカは信じることが出来なかった


「…ちょうどいい。これで俺がマスターになれる可能性があがったってわけだ…!!」

『…ぇ、?』
「ラクサス!!」

ナツが声を荒げる。


「次はお前か…?モニカ」

『なん、で…』

「お前のことだ。俺を止められると思ったんだろ?」

『   。』



―ドクン


「…!?」

―その場の、全ての時間が一瞬だけ止まった。
その原因は


「…モニカ?」
「この…魔力は…!」


―ドクッ ドクッ
心臓の鼓動と同じように どんどん膨れ上がっていく 力
その場の3人だけが感知できる…
そして


『――ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああッ!!!!!!!!!!!』


時が来た

―シュッ

「魔方陣!?」

ナツとガジルが、自分を囲むように現れた緑色の魔法陣に気付いてすぐ、


―ジュウゥッ…!!!!!

「!!地面が、」
「溶けてやがる…!?それに、なんだこの馬鹿げた魔力は…!!」


ラクサスと同じくらい、
いや、それ以上。


「“太陽竜の熱は全てを焼き尽くす”。だったか?モニカ…」

『ラクサス』

「!」


鋭く自分を呼ぶ声。
もう、そこにいつもの、泣き虫で人の後ろにいる彼女はいない。

溢れる魔力に揺れる薄桃の髪。
メキメキ…と彼女の顔に走ったのは、竜のような鱗の跡。

いつしかモニカの足元は…焦げている。


「やっと本気か…かかって、」

『…"太陽竜の"、』

「…いい度胸だ!モニカ!! "雷竜の"!」



「『 ”咆哮”!!!!!!!!!!! 』」




・・・・

「ラクサスが、押し負けた…!」

「嘘だろ…」



緑の魔方陣に守られている2人は

恐怖した



感じたことがない激しい魔力。
その源は、2人のすぐ傍・・・


「(この女…!"ドラゴンフォース"を完璧に操ってやがる…!!!!!)」


頬に浮かぶは、竜の鱗。


「…お前ッ…!!」


口の中の血をはき出し、立ち上がる雷竜



『…この、分からず屋。』
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