キミの為に鐘は鳴る。

□【キミの為に鐘は鳴る。】第9話
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―遺跡の地下で見た、巨大な怪物の氷漬け。

あまりに巨大過ぎるそれに、皆言葉を失っている。




「…“デリオラ”…!?」




「「「『 !? 』」」」



ぽつりと。

震える声でそう呟いたのは、グレイだった。


この怪物の名前だろうか…
思えば、グレイだけ様子がおかしい…。


普段の彼からは想像できない位、動揺している…!?

―グレイが、ふらつきながら氷塊に歩み寄った。



「バカな……“デリオラ”がなんでここに!?」



・・発されたのは、とても震えた声だった。



『グレイ…!?』


「・・知ってんのか?コイツ」


ありえねぇ…!!こんな所にあるわけがねぇんだッ!!!あれは…あれはッ…!!!


『っ、グレイ、落ち着いて』


「ッ…!!」




―初めて見た彼の姿に、たまらず駆け寄った




「ねぇグレイ、なんなの?この怪物…」


「……“デリオラ”…。厄災の悪魔…!!」


『厄災の“悪魔”…!?』


「コイツが…!?」


「…あの時の姿のままだ…。どうなってやがる…!」


「…!、しっ、誰か来たわっ」




―近くから足音が聞こえた。

・・こっちにやって来る…!



「隠れるわよッ」


「あい!」


「何で隠れんだ?」


「いいからっ」


『グレイ、隠れよう』


「…っ、ああ…」



―とっさに岩陰に隠れた。すると…



・・・


「…人の声したの、この辺り」


「おおーん」


「…トビー。お前“月の雫(ムーンドリップ)”浴びてね?耳とかあるし


浴びてねぇよッ!!飾りだよ!わかれよ!!!」


「からかっただけだ」


「おおーん・・ユウカのいけずぅ」


・・・


「…なんか変な奴ら出てきた」


「“ムーンドリップ”…?呪いのことかしら…」


「!、また誰か来たぞ」


・・・


「ユウカさん…トビーさん。悲しいことですわ…

アンジェリカが何者かの手によっていたぶられました…。」


「Σネズミだよッッ!!!デラックスな名前つけんな!!!」


「ネズミじゃありません!

アンジェリカは、闇を駆ける狩人なのです!


    …そして、。」


・・・



「…強烈にイタイ奴が出てきたわね」


「アイツら、この島の人間じゃねぇ…。ニオイが違う」


「うん…それに呪われてる感じもしないよ」


『あの怪物と、関係あるのかな…』


・・・



「侵入者、か」



( 「「「『 !! 』」」」 )



「もうすぐお月様の光が集まると言うのに…なんて悲しい事でしょう」



シェリー、という女は
悲しそうに頭を振って他の2人に言った



“零帝様”のお耳に入る前に駆逐いたしましょう。

そう…お月様が姿を現す前に…。」


「だな」


「おおーん」


「デリオラを見られたからには、生かしては帰せません…

侵入者に永遠の眠り…つまり“愛”を…。」


「…Σ“死”だろ…!?」



―3人組は
ナツたちに気付くことなく去っていった…。


・・・・・


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