キミの為に鐘は鳴る。

□【キミの為に鐘は鳴る。】第7話
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―朝、
女子寮の自室で、今まさに身支度を整えています。



『ん…よし、OK』



自分の茜の髪を櫛で整え、
ブーツを履き、鍵をかけてギルドに急いだ。


・・・



ギルドの門まで行くと、見知った人が居た



『グレイおはよー』


「よォ、レナ」



ほぼ毎朝なんだけど、
ギルドに入る前に必ずといっていい程グレイに会う。
早起きでいつも偉いなぁって思うの。
(そう言ったら「ハァ…」ってため息で返されました。あれ?)



「この前は俺が仕事選んだから、次お前な」


『はーい。どれがいいかな〜』



2人でリクエストボードの前に並び、
どれにしようかと考える。



「(ま、お前と行くならどこでもいいけどよ)」


『あ、これどう?“盗賊退治”。20万Jだって』


「いいんじゃねーか?じゃ行くか」



「「「「「「「「 (イチャイチャしやがって) 」」」」」」」」



自分達が生暖か〜い目で見守られているのを
当の2人は気付いてなかった・・^^。




―だが、そんな和やかな時が
突如として破られた。




マスター!2階の依頼書が1枚無くなっています!!


!!?



あまりの事にマスターも思わず酒を噴出す。
ギルドの皆もただならない事態に動きを止めた。

しかも“2階”だなんて…S級クエストの依頼書を…!?



「ああ…それなら昨日の夜、羽の生えた猫がちぎって持っていくのを見たぞ」


「!!?ハッピーが!?」


「てことはナツとルーシィも一緒か!!?」


「…何やってんだアイツら…!!」


『なんで、そんなことっ…!』


「ラクサス!知っててなんで止めなかったの!?」



犯人が分かり、皆で頭を抱える。

でも確かに、見ていたなら止めて欲しかった…



「俺にはどろぼう猫が紙切れちぎって持っていった様にしか見えなくてなァ。

まさかアレがハッピーでぇ?
ナツがS級に行っちまうなんて、思いもしなくてよォ」


「…!!!!!」


「おォ?アンタのそんな顔、久しぶりだなァ」


『…ラクサス…!!』



止めて欲しいなんてあまかった。
あの人は知っててわざと止めなかったんだ。

ラクサスの言葉に、ミラの表情が
普段の彼女からは絶対予想できないほど、険しくなっていた。



「マズイのう…消えた依頼書は?」


「…呪われた島、ガルナです」


悪魔の島か!



それを聞き、さらにギルド内がざわついた。

“ガルナ島”といえば、“悪魔がいる”という噂で有名で、
そこへ立ち寄ろうとする者はまずいない。

そんな所へ、あの3人は行ったのか・・。



「ラクサス!連れ戻して来い!」


「冗談!俺はこれから仕事なんだ」



マスターの言葉に全く取り合おうとしない。



「今ここに居る中で、お前以外

誰がナツを力ずくで連れ戻せる!!?」


「 ! 


…わりぃレナ、今回だけ、仕事はまた今度な」


『いいよ。私も止めようと思ったし…


…一緒に行こう。』


「!…おう。」



持っていた依頼書を元に戻した。

彼女の目が、笑っていないのが…怖い。



「じーさん。

そりゃあ聞き捨てならねぇなあ」


ラクサスは忙しいらしいから、私たちで行って来るよ』



2階に向かって、
聞こえるように言った。



「おーおー怖ェ怖ェ。ククク…!」


……バカッ…!



いつもより早歩きで、
グレイとギルドを出た。



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