キミの為に鐘は鳴る。
□【キミの為に鐘は鳴る。】第6話
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・・“エルザが評議院に連行された”。
この現実がギルド全体に重く圧し掛かり、
"妖精の尻尾"は普段では考えられない程静まり返り、皆沈黙している。
「だせーーーッ!!!!
俺をここから出せーーーっ!!!!」
「…ナツ、うるさいわよ」
「出せーーーーーっ!!!!!!!!」
「出したら暴れるでしょ?」
「暴れねえよ!!!つーか元に戻せよっ!!!!!」
コップに閉じ込められた小さなトカゲがさっきからずっと「出せぇぇぇ」と叫んでいた。
先程マカオの息子、ロメオが「うちの父ちゃんがナツを捕まえた!!」といって連れて来たのだ。
というわけでこのトカゲはナツらしいが…。
「…ナツ、助けに行きたいのはみんな同じよ」
「なっ…!オレは別に 「でも今回は相手が悪過ぎるの…待つしかないのよ」 ……!!」
「相手が評議院じゃ手の打ちようがねぇ」
「間違ってんのはあっちだろッ!」
『そう言ってやりたいんだけど…』
「俺らの言い分なんか奴らが聞くもんか」
「しかし…今まで散々やってきた事を今頃蒸し返すとは…」
「…やっぱり放っておけない!証言をしに行きましょう!」
「ルーシィ…!」
「まあ、待て」
「 !!? 」
ルーシィが立ち上がって叫んだけれど、
マスターが静止の声をかける。
「何言ってんの!これは不当逮捕よ!!
判決が出てからじゃ間に合わない!」
「今からではどれだけ急いでも判決には間に合わん」
「でも…!」
「その前に出せーー!!!オレを出せーーー!!!」
「本当に出してもよいのか?」
「ッ…!、……………。」
「「「「『「 ??? 」』」」」」
「どうしたナツ、急に元気がなくなったな」
マスターが、全てを見透かしたように笑っている。
「かっ!」 「ぎゃっ!!!」
「「「「「『「 マカオ!!!? 」』」」」」」
マスターが魔法を放つと、
私たちがナツだと思っていたトカゲが「ぐぁっ」という
明らかにナツのではない声を発した。
マカオはナツに借りがあったらしくて、
自分を身代わりにナツを行かせたという。
…エルザよりナツが逮捕されちゃいそうだよ…。
「じゃあアイツ、エルザを追って…!!」
「シャレになんねぇぞ!
アイツなら評議院すら殴っちまいそうだ!!」
「静かに」
「「「「『「 !!? 」』」」」」
マスターの一声に、
ギルドは水を打ったように静かになる。
「全員黙っておれ。静かに結果を待てばよい」
その言葉を聞き
もう何も言う者は居なかった・・
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