禁断の恋シリーズ
Urukiora×Orihime



今日は曇り空だった。

虚圏にも天気はあるのだ、と今更ながら気付く。

最近、ここでの暮らしに慣れた所為か、眠れぬ夜も、食事が喉を通らないと言うことも殆どなくなった。


きっともう、私は、諦めているのだろう。

現世に帰ることも、たつきちゃんとお話しすることも、そして、黒崎くんに助けてもらうことも――。

私が此処に居るということは、現世では死を表しているのだろうか…。

そんな思索に耽っていると、扉がガチャリと音を立てて開いた。

「女、飯だ」
この光景も見慣れたものだ、と心のどこかで私は笑う。

この人は、私にとても良くしてくれた。
敵である私と、最近では世間話すらするようになった。

「井上織姫。」
呼ばれて顔を上げると、彼は目の前まで歩み寄ってきていた。

とくん…と胸が鳴った。
この静寂の中だと、そんな音や息遣いまで彼に聞こえそうで…

「ウルキオラさん、私、変ですよね」
綺麗なエメラルドグリーンの瞳がこちらを見ている。
見ているだけで吸い込まれる気がした。

彼は私の隣りまで来ると、先程まで私が見ていた窓に視線を移す。

相変わらずの曇り空で、それは、今にも泣き出しそうだった。

彼は私が話すのを待っているのだろう。

「だって、最初はあんなに返して、離してって言ってたのに、それが今では、こうしてウルキオラさんが来てくれるのを楽しみにする程になったんですよ」

彼は一言、そうか、とだけ呟いて、私の自慢の、亜麻色の髪を梳く。

ほんの少し彼の手が私の頬に触れる。
その冷たさが、私と彼とは違うということを、嫌と言うほど思わせた。


涙が出そうだった。

わかってた、ずっと前から。

私はもうとっくに、彼のことを―――好きになってた。


「何故、泣く?…織姫」
驚いて目を見開くと、溜まっていた瞳から一粒涙が零れた。

昔はよく、お兄ちゃんに同じ様にしてもらっていた。
お兄ちゃんの大きな手、とても安心したのを覚えている。

もう、認めざるを得ない。

「もう少し、もう少しだけこうしていてくれますか」
半ば勝手に口が紡いだ言葉。

彼は何も答えなかった。
ただ黙って、私の髪を梳いていた。


その後は、よく覚えていない。
どうやら、眠ってしまったようだ。
ただ、いつもよりぐっすりと眠った気がした。


窓の外は雨だった。
いつも外に見えていた月はもちろん見えない。

隣りの温もりがまだ残っている様な気がして彼のを捜したが、その姿は見当たらなかった。


私はひとり、実ることのない想いに、再び涙を流した。



〜あとがき〜

BLEACH、君の名を呼ぶ、はると一緒に観てきました。
主題歌ポルノグラフィティの、今宵、月が見えずとも、をベースにしたウル織仕様となっております。
なかなか楽しかったですよ♪
はる、また遊びに行きましょ☆

拍手お礼SS
禁断の恋シリーズ
人間と破面の恋でした



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拍手、ありがとですっ



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