only love
□♯3
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「ねぇ、涼ー。涼ってば!」
試合の帰り道。
僕と美鶴は肩を並べながら、家路に向かっていた。
さっきからずっと僕を呼んでいるのは美鶴。
そして、僕がそれに返事をしないのは、質問の内容が分かってるから。
美鶴から絶対に今聞きたくない名前が出てくるだろうから。
2人だけでいる時ぐらい、恋人気分でいさせてよ。
僕だけ見ててよ。
「………りょー」
怒っていると勘違いしたのか不安になったのか、美鶴の声のトーンが下がる。
はぁーと美鶴に気付かれない程度にため息を付いた。
「何?……聞きたいことって」
「あ、うん。圭のことなんだけど……」
ほらね。
出た。
“圭”
この言葉。
「圭がどうかした?」
「なんか変じゃなかった?」
そりゃあねぇー、好きな女の子が自分以外の他の男と仲良くしているところ見て、心中穏やかでいられる人なんていないよ。
「……変だったね」
僕がそう言うと、意見が一致して満足したのか美鶴の思案顔が納得顔に変わった。
「うん。だよね。圭………なんか怖かった。私、圭を怒らせちゃったのかな?涼、どうやって圭と仲直りしたらいい?」
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