only love
□♯3
2ページ/4ページ
にっこりと笑って手をひらひらと圭に振ると、睨らみをきかせてきびすを返していった。
仕掛けてきたのは、そっちでしょ?
美鶴はというと、圭との約束を思い出したのか顔を赤くしたまま、“無理”だとか“それはない”だとかブツブツ呟いていた。
そんなの当たり前。
だからね?
「美鶴、圭とキスしなくていい方法があるよ?」
「え?うそ」
「本当。試してみる?」
「うん、うん」
「じゃあ、美鶴から僕に抱き付いて?」
「抱き付く?」
「ほら、早く」
「うぅー、こんなんでいいの?」
美鶴の腕が僕の腕に絡まる。
平常心でいたいけど、この格好で上目遣いのまま首傾げる美鶴には我慢できなかった。
「もっと、よって」
少し美鶴と絡まれている腕をこっちに引くと、いとも簡単にこちらに寄りかかってきた。
こめかみに軽いキスを落として、その上に僕も頭を置いた。
もちろん、その間に周りから巻き起こる歓声などは全て無視で。
でも、これはさすがに無視はできない。
こちらに向かってくるバスケットボール
ビュー パシッ
「圭、パスする相手を間違ってるよ」
ビュー
空いている片手で受け止めたバスケットボールを圭に投げて返す。
「涼、後で覚えてろよ?……美鶴、お前もな」
ギロッと睨んで行くもんだから、それから試合が終わるまで美鶴は怯えて僕の言うこと聞いてくれなかった。
.