only love
□♯3
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「圭ー!頑張れー」
僕の隣には美鶴が座っていて、圭を応援している。
前半はいい。
前半は。
後半に入り、少ししてから僕は美鶴に寄りかかった。
周りがうるさいけど気にしない。
「りょ、涼?」
戸惑った美鶴の声が聞こえる。
僕の行動に反応して出されている声だと思うと嬉しい。
「何?」
「あ、えーと、具合悪いの?」
「元気だよ」
「え?じゃあ、どうして……」
どうしてだって?
そんなの当たり前。
美鶴を圭に取られない為だよ。
「美鶴は圭のこと応援してるけど、圭のチームが勝ったらどうなるか覚えてて応援してるの?」
「圭のチームが勝ったら?」
コテンと首を傾げる仕草が可愛いくて、抱き締めたい衝動に駆られるけど今は我慢。
「そう。覚えてないの?」
「うーん」
困り顔で唸っているところを見ると、本当に覚えていないのだろう。
クイクイと指で耳を寄せるよう合図をすると、美鶴は素直に耳を寄せた。
コートから死角になるように片手で覆いを作り、美鶴に囁く。
「……キス、だよ」
チュッというリップ音を付け加えると、美鶴は真っ赤になった。
サッと身を引くときにコートに目をやると、圭が凄い形相で僕達を見ていた。
もし、美鶴からのご褒美が欲しければ、試合ちゃんとしなきゃね。
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